2014年09月17日

東北ぐるり一周18きっぷの旅 1998 その2


山劇トラベルシリーズ
東京駅滞在時間はたったの2分



 うつらうつらしてる間に、気がついたら列車は熱海駅に停車していた。名古屋から見ると熱海は別世界である。この時初めて旅をしているという実感がしてきた。

 ところで、隣に眠っているW氏は途中横浜で下車する手筈になっている。計画当初は一緒に東北へ行く筈だったが、打合せの度に行き先が近くなり、念の為出発の直前になって行き先を確認したら「鎌倉と信州」に決めたそうな。鎌倉と信州。この二つをどのようにして結びつけるのか知らないが、既にユースの予約も完了しているという。

 W氏は横浜に到着する少し前に目を覚ました。4時16分、ながら号は何事も無く横浜に到着。W氏は軽く挨拶を交わすと閑散とした横浜駅ホームへと下車していった。外は未だ暗い。

 さて、あと20分余りで東京駅に到着する。東京駅を降りたら次は上野駅まで行く必要がある。知人の話によると山手線が一番便利らしいのだが、都内では専ら地下鉄ばかり利用していたので、一度も山手線を利用したことが無い。どうしたものか。窓の外を眺めながら方法を考えていたら、現在乗車している東海道線の列車と並行する路線が何本かある事を発見。どうやらあの中の一本が山手線らしい。車窓を眺めてるうち、不意に行き先に表示に「山手線」と表示がある電車を追い抜いた。こちらは快速だから東京駅到着が山手線より早い筈。何とかあの電車に乗れないだろうか。

 4時42分、列車は東京駅に到着した。先程追い抜いた山手線に間に合うかどうか分からないが、とりあえず走る。思いっきり全力で走る。東海道線のホームから階段を駆け降り、素早く冷静に山手線ホームの方向を確認し、目指すホームを駆け登ると、電車は丁度ホームの端に入線してきた。どうやらこれが東京駅4時44分発の始発電車らしい。とにかく何とか間に合った。これで4時51分、無事上野駅に到着することができたのだった。



今回の旅はハラヘリで始まった



 当初の計画では、上野駅を5時39分発の常磐線いわき行きに乗る予定だったが、東京駅の接続が良すぎたため予定が繰り上がった。改めて時刻表を調べると、どうやら5時10分発の始発に乗れそうである。

 早朝の上野駅ホームは人が居る気配を殆ど感じない。そりゃそうだ。普通なら誰もが熟睡している時間である。しかし、常磐線のホームに停車中の電車に乗り込むと、意外に人が乗っていた。見ると車両はロングシート。誰も乗っていないかと思っていたので少々驚いた。すかさず車内に自分の座席を確保した後、長距離に備えて念の為にトイレに行き、帰りに自販機で缶コーヒーを購入した。

 電車の座席でのんびり寛いでいるウチはよかった。電車が上野駅を出発し車外の景色が住宅街に変わってきた頃、腹が空いている事に気がついた。朝食の準備をすっかり忘れていたのである。

 確か電車がいわき駅に到着するのは8時33分。少なくとも3時間は何も食べる事が出来ない計算。上野駅で缶コーヒーを買う暇があるなら弁当でも探せばよかったのだが、キヨスクも何も店が開いていなかったような気がする。

 仕方ない。ひたすら我慢するしかないと腹ぺこの腹をくくり、空腹を悟られないよう素知らぬ顔をしてひたすら車窓の景色を楽しむしかない。ところでその景色だが、常磐線の景色は面白くない。沿岸を走るのに海も見えない。代わり映えしない平野部をひたすら走るだけ。

 それでも途中で一人二人と下車していき、友部を過ぎた辺りで車内はガラガラになった。座席の正面には先程から中学生くらいの姉弟が座っている。姉は本を読んで、弟はひたすらゲームボーイをやっていた。

 その弟が姉に何か呟くと、姉はカバンから包みを取り出して拡げると、それはまさしく弁当であった。中には定番おにぎりと卵焼きが……水筒の中身は何だろうか。その姉弟は揃って美味しそうな弁当を食べ始めたのである。腹ぺこの目の前で。ううう。

 その弁当を食べていた姉弟も、途中の駅で降りていった。改めて車内を見渡すと、上野駅から乗り続けているのは自分以外に居なくなってしまったようだ。



駅弁が無い!?



 8時33分、いわき駅に到着した。乗り換えの間に念願の駅弁を求めるべく駅の売店に急行するが、まだ弁当類は到着していないとのこと。なんという事でしょう、いわき駅にはまだ駅弁が無いのである。とても悲しい。もう少しで凶暴化しそうだ。



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 時計を見ると発車にはまだ時間があるので、駅の外で探そうと一旦改札から外にでてみた。しかし駅の周囲は飲み屋ばかりで営業している店がない。急ぎ足で歩き回るとマクドとミスドを発見したものの、こんな遠く迄来てあの手の店には入りたくない。やせ我慢しつつ別の店を探すが、ついに見つからなかった。仕方なく途中にあったコンビニでおにぎりとお茶を購入して駅前のベンチで食べた。これを以って朝食宣言とし、凶暴化を抑えることに成功した。

 次の列車は9時18分原ノ町行きである。先程の電車が空いていたので少し油断していたら既に満席間近。もう少しで座れないところだった。この車両は中央部にクロスシートが4箱あり、その前後はロングシートになっている。周りを見るとやたらお年寄りが多く、皆同様に花を持っている。今は盆のシーズンなのをすっかり忘れていた。花束を抱えたお年寄り達も途中で次々と下車していき、いつの間にか車内は閑散に、がら空きになってしまった。



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 車窓は相変わらず退屈な景色が続き、列車は10時31分、原ノ町に到着。ここでいよいよ仙台行きに乗り換える。乗り換え待ちの乗客は少ないので特に慌てることもない。

 いつものように座席を確保し、車外に出てぶらぶらしていると駅弁売りのおやじがやって来た。おお、待望の駅弁である。何か面白い駅弁は無いかと見てみると、幕の内っぽい弁当が多い。幕の内を避けると残るのは「かにめし」だけだった。800円。思ったほど高くない。かにを素材にしているにしては値段が安いのが気になったが、とりあえず購入する。



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 10時48分、列車は定時に原ノ町駅を出発。仙台駅到着予定は約1時間半後の12時10分である。駅を出てからすぐに弁当を食べる事にした。いわき駅でおにぎりを食べたとはいえ充分ではないし、もう既にお昼に近い。

 その弁当は、まぁまぁってところか。容器の蓋を開けると、一面のカニ……に見えたが、よく見たら鮭フレークにカニが混じっている感じ。どうりで安いワケだ。これが全部天然かにを使用していたら2,000円は下らないだろう。だがこれはこれでご飯も具も充分なボリュームがあり、おかげで朝から続いていた腹減り地獄はあっさりと解消してしまった。

 先頭車両に座っていて先程から少々気になる集団がいる、目の前でビデオ撮影をしているのだ。どうやら列車進行方向の風景を撮影しているようである。眺めていると、ビデオとは別に手に立派なカメラを持ったマニアっぽい集団が居る。その連中が先程から次から次へと先頭にやって来ては引き返していく。絶好の撮影場所をビデオ撮影隊が占領して押さえてしまっているので、カメラの連中は撮影隊の後ろから遠慮気味に眺めていたのだった。カメラ連中だって、きちんとお金を出して乗っているんだから少しは気を使ってやればいいのに。と、ほんの少しだけ思った。



食い物をとるか、観光をとるか。選択を迫られる



 仙台駅に着いた。東京駅での奇跡的な接続が功を奏し、当初の計画よりも1時間30分も早く進行している。今日はこ地、仙台のユースに宿泊する手筈になっている為、本日の残り時間を存分に過ごすことが出来る。山に行こうか海に行こうか、それとも仙台名物と聞いている「牛タン」を食べようか。いろいろ思いを巡らせるが回答が出ない。

 ここで冷静に腹の具合を調査すると、お昼前に食べた弁当により満たされていると判明。ここは思い切って観光の方へ時間配分を振り分けるのが得策ではないだろうか。

 観光といえば、仙台の近くに全国的有名な「松島」がある。どれ程素晴らしいのか一度見てみたいと常々思っていた。と言う事で行き先は松島観光に決定。

 一旦仙台駅の改札を出て改めて駅全体を眺めてみると、思いの外大きくて立派な駅だとわかった。在来線のホームは1階部分にあり、2階がコンコースになっている。3階が新幹線のコンコースになっているので新幹線ホームは4階という事になるのか。

 改札を出てからコインロッカーを捜す。ここから何処へ行くにしても、再び仙台駅に引き返して来る事になる。わざわざ重い荷物を背負って移動する必要はない。ここは貴重品一式が入っているウエストバッグがあれば事が足りる。そう思っていたのだが、コインロッカーの空きが見つからない。仕方なく手荷物預かり所に預ける事にした。コインロッカーよりも若干高いがやむを得ない。



そういうわけで、松島にやってきた



 仙台から松島に行くには仙石線を利用して松島海岸駅で下車する方法と、東北本線を利用して松島駅で下車する方法の2通りあるが、聞く所によると仙石線を利用する方が一般的らしいので、それに従うことにする。

 仙石線のホームは他のホームと違い、長い地下通路を通った先にある。そして何故かこの路線だけあさっての方向を向いている。ホーム自体もなかなか古くてローカル線情緒たっぷりである。



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 時刻表で確認すると松島海岸駅は仙台から快速で24分となっている。ホームに足を踏み入れたのを待ち構えていたように12時34分発の快速がやってきた。白い外装の電車である。ドアが開くと並んでいた乗客が車内になだれ込んだので座れるかどうか心配だったが、なんとか座席を確保。

 座ってしまえば特にやることもない。周りを眺めていると不思議な光景を目にした。乗客がドアを閉めたように見えたのである。改めてドアの周りをよく見ると何やらボタンがあり、ドアを開けるボタンと閉めるボタンがドア毎についていて、乗客は好き勝手に開け閉めしている。

 そうなると果たしてドアの外はどうなっているのだろうか。気になることは実際に見てみないと気が済まない。もう一度ホームに出て見てみるとドア右側にボタンがあり、ランプ点灯中にボタンを押すとドアが開くとある。どういう事だろうか。



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 その答えは実際に走り出してからわかった。電車が駅のホームに到着してもそのままではドアは開かない。外から電車に乗る人はボタンを押してドアを開ける。そして一旦車内に入ったらそのドアを自分で閉める。ドアが開いたままでも発車の際に自動で閉まる。同様に電車から降りる人は電車が駅に着いたら自分でボタンを押し、ドアを開けてから車外に出る。そんな仕組みになっている。

 これにはどういう利点があるのか。以下は勝手な想像である。これは多分、冷暖房効率を良くする為。言い方を変えると、ドアを開ける事による冷暖房のロスを最小にする為ではあるまいか。そしてこれも多分だけど、より寒冷地の地方にこの方式のドアが多いのではなかろうか。少なくとも名古屋周辺では見られない。

 電車は仙台駅を出発すると暫く住宅街の中を進んでいく。途中、仙台育英高校が見える。あれは確か高校野球でよく耳にした高校ではあるまいか。

 仙台駅を出てからずーっと窓の外を見ているが、ずーっと平野部の住宅街ばかりで、全く海が見えない。当然松島らしき景色のかけらも見えない。確か仙台から松島海岸までは24分の筈だが、既に15分以上経過している。残り10分も無いのに本当に松島に着けるのか。

 そうした心配は東塩釜に着いてからいきなり解消した。東塩釜からいきなり景色が激変し、海がちらほら見え隠れするようになった。これならば納得できる。電車は間もなく松島海岸駅に到着する。




松島から仙台市内に戻り、仙台編はいよいよ佳境。
次号 仙台市内を観光した後、初のユースに挑む!

東北ぐるり一周18きっぷの旅 1998 その3





■東北ぐるり一周18きっぷの旅 1998のインデックス

<その1> 東北計画が発動し、いよいよ名古屋を出発する。
<その2> 電車をひたすら乗り継いで仙台に到着。←今ここ
<その3> 超有名観光地の松島にやって来ました。
<その4> 三陸鉄道を乗り継いで八戸のカワヨユースへ。
<その5> カワヨユースでは快適な温泉三昧。
<その6> 青森で飯を食べそびれ、弘前でリベンジを。
<その7> 憧れの五能線に乗って黄金岬不老ふ死温泉に入る。
<その8> 秋田と酒田で途中下車し、電車は新潟に向かう。
<その9> 新潟で省エネ観光し、憧れの寝台急行で帰宅する。



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posted by サンタ at 13:09
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