となりの山劇シリーズ |
アダルトツーショット その後の話
怪しい話はもう暫く先送りにして、ツーショットダイヤルのパート2ですゥ。
とにかく逢えない。てんで逢えないのである。アポを取っても取っても約束の時間に約束の場所に姿が現れないのである。な~んとした事か。
「いったいどうなっとるんだ。」
「どうした?」
「全然逢えんぞい。」
「ま~、ま~。そのうちにいい事があるから。」
ダラダラと文句をぶーたれながらも今日もまた電話を掛けているのだが、はっきり言って電話代がバカにならないのであ~る。何も取材用にと貰った度数を全部使い切ってしまわなくても良さそうなものだが、もう半ば意地になっている。絶対に逢ってやる。出来るものならエッチもしてやるぞ。と、意気込みだけは鼻息が荒いのである。イカン、随分溜まって来たかな。
「今日はいいプレゼントがあるんだ。」
「何かくれるの?」
いつもの酒場で友人達と飲んでいる時、友人が取り出したのは『携帯電話』。正確には070番号で始まる『エッジ』というやつである。これを自分にくれると言うのだ。
「いつも電話代で困っているだろ。」
「まぁ、困ってはいるけど。」
「だからさぁ、これを使えよ。」
「使えって、俺が使うの?」
聞けば、電話代として別途出している金額も結構嵩むから、それなら安いエッジを持たせた方が安く上がるのではないか。どうせ連絡するんだから、電話しやすいし。という事らしい。だから、通話料も全て友人(会社)持ち。自分としては全部タダ。
こうして、今までこういった携帯通信機器を一切持たなかった自分だが、晴れて文明人の仲間入りになったのであった。決して自分から望んだ訳ではないのだが、結果的にそうなってしまった。
で、どうしてわざわざ電話を渡してくれたのか。答えは直ぐに出た。次の取材が「逆ナンパツーショット」という指令で、先ず自分が伝言ダイヤルの時と同じように伝言を録音し、今度は女性側がその伝言を聞くのである。
そこまではフツーの伝言ダイヤルと同じではないか。違うのはそこから先で、男性の録音が終了したトコロで「この男性に直接電話しますか」というアナウンスが流れ、女性が『はい』を選択すると、その電話が予め登録されている電話番号に転送されるという仕組みになっているのである。店側ではこれを『自宅でテレクラ』と宣伝している。
要するに、何時電話が掛かってくるか分からないという事でなのである。登録転送先を自宅にする訳にいかないし、会社なんてトンデモナイし。誰かに協力を頼む訳にもいかないし。という事で友人が考えた結論がコレね。とりあえず携帯電話でも持たせておけば携帯電話を転送先に指定するだろう、と。でも結局それしか手が無いんだよね。
仕方なく、仕事中にこっそりとビルの非常階段に上がって考えておいた作文を読み上げる。確か『普段はノーマルだから、一度アブノーマルなエッチを試したい』というような内容にしたと思う。
それで一端電話を切り、電話を『振動モード』にセットしてから事務所に戻って仕事を再開するのであった。既に残業モードであった。これでも結構忙しいんだよ。
「(BBBBBBBB・・・・・・・)」
おーっと。録音してから1時間もしていないのにコールが鳴った。電話番号が表示されていないから友人ではないぞ。急いで電話と共に非常階段に上がって電話を取る。
「もしもし・・・」
「伝言、聞いたワ。もし、私で良ければ。エッチしない・・・」
電話を聞いて驚いたのは勿論だが、正直なところ「シメシメ」とも思った。それで、何とかアポを、出来るなら今すぐにでも逢いたいとアピールするのだが、相手の女性はこちらの話なんててんで聞いていなくて、ただ息が荒いだけ。雰囲気からして、電話の向こうでオナニーをしているような感じがする。でも結局それ以上話が進展しなかったから、こちらから電話を切ってしまった。
イキナリ最初が何だか変な電話だったけど、その後も電話が鳴り続け、その日は仕事どころでは無くなってしまった。あ~あ。残業で仕上げるつもりだった仕事をどうしてくれる。
「今回の内容を、知ってたんだろ。」
「え~。何の事~。知らないよ。」
「大体電話をあてがうなんて、怪しいと思ったんだよ」
「でも、半年間は解約できないからさ、好きに使っていいよ。」
こうして、意外なルートで電話を持つ事になってしまった事。そして相変わらずアポを取ってもちーっとも相手と逢えない事。なかなかやね~。
実はまだ話に続編があります。しかしですね、只でさえ僅かしかない品格と風前の灯の風格が消し飛んでしまいかねないとの判断で期待してた方には非常に心苦しいのですがここまでとさせて頂きます。ごめんね~。
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