2015年06月05日

となりの山劇 No.136 桃色印のお仕事 その3

となりの山劇シリーズ


元祖テレクラにもチャレンジしてみる


 う~ん。前回のテレビ電話っちゅうのはつまり、テレクラのオプションのようなもので、この第2回目の元祖テレクラこそがその王道という。何を言ってんだろ。

 とにかくねー、客として店に入るのは初めてなものだから、地に足がつかないわ汗がタラタラと流れてくるわで、とんでもない目に遭った。それでもなんとか原稿を書き上げてメールで発送してから数日たったある日のこと。

 「まいど~。この間はどうも~。」
 「原稿を送ってから連絡無かったけど、良かったの?」
 「あ~、いいよ~。少しこちらで手直ししたけど。店長も喜んでくれてるみたいだし。」
 「も~、ドキドキものだったんだから~。」
 「ま、い~じゃん。で、次の件だけど。」
 「へ?・・・・・・」

 それで第2回目はテレクラなんだそうな。前回の時にも触れたけど、ここで少し説明をしておくと、テレクラっちゅーのはつまり不特定多数からの電話がかかって来るのを待っていて、掛かってきた電話の相手との会話を楽しむ、と言うシステムになっている。たったこれだけ。

 まー、それだけだったら教育委員会のどーのこーのとか、店舗の規制とかうるさい事を言われずに済むのに。でも実際の話、『会話を楽しみに来る』だけの客なんて居ない。それはまるでソープ行って入浴料のみで帰ってくるようなもの。そんな客居ないって。

 何だかんだで次の土曜日に再び前回のテレビ電話と同じ店に行くことになったが、今度は2回目だし、何と言っても相手からこちらが見えないという安心感からか、思ったよりは緊張しなかった。

 「いらっしゃいませ。あ、ご苦労様です。」
 「こないだはどうも。今回はテレクラの方をお願いします。」
 「今、何人入ってる~?」
 「現在は4名様が入っていらっしゃっております。」

 そう言って今度は通路の奥の方へと案内された。若干照明が落とされた通路の壁を見たら、前回書いた原稿が既にレイアウト済みの状態で、デカデカと掲示されていた。

 「あれ? まだこれ印刷されていない筈では?」
 「うん、どうしても欲しいってんでコピーしてきたんだ。」
 「あの原稿がこうなったワケね。ふ~ん。」
 「あとであげるよ。」

 案内されて入った部屋は、前回のテレビ電話の部屋と同じような広さで、座り心地が良いイスと電話機が一つ置かれている。四方の壁には例のごとく注意書きと禁止事項が書かれた紙が貼ってある。見ると『援助交際禁止』『売春行為禁止』等と、はっきりと書かれてある。中でも『こちらから電話を切らないで下さい』と書いてある。これは話によると店の営業の信用に関わるから、という事らしい。一応。そして何故かやはりティッシュが一箱。何に使用するのかという疑問を持たないように。

 さてこれで電話が掛かってくるのを待つのみ・・・と、安心してはイケナイ。この電話がなかなか取れるものではない。どこもそうだが、テレクラの電話というものはいわゆる『早取り制』になっている。要するに、掛かってきた電話にいち早く電話を取った人が繋がる

 この事を最初はタカをくくっていた。しかし現実というものは予想以上にキビシイ。電話が掛かってくる割合は5~10分で1本くらい。今現在こちら側の陣容は5人だし、電話機の回線ランプが付いている人は会話中だろうし、黙ってても順番が回ってくるだろう、と考えたのが大甘。電話が「ル・・」と鳴りだしてから受話器を取っていては遅すぎるのである。

 それで実際にはどうするのかというと、受話器を手に持って、開いている手で電話機のフックを押さえて待機する。そして受話器の音ではなくて、回線ランプが点灯した瞬間にフックを離す。というテクニック。これでも本当にランプが点いたかどうかという瞬間にフックを離さなければ「ツーーーーー」という音しか聞こえない。

 もう最初の頃は連戦連敗状態で、次第に腹が立ってきて、段々意地になってきた。そして次第にテクに磨きがかかってきて、ついに最初の電話をゲットすることに成功したのであった。

 「こんにちわ。」
 「あ、こんにちわ。初めまして。」

 それでもいざ女性が電話に出るとあせってしまい、思わずアワワワとなってしまう。ここで改めてボギャブラの無さを感じてしまうのである。

 それでもなんとか電話の本数が増えるに連れて何となく慣れてきて、色々な話を聞けるようになってきた。知らず知らずのうちに取材モードになっている。

 今回の店のシステムは、料金3500円で基本的にその日1日有効で、営業時間内時間制限無しとなっている。但し、1時間たった所で一旦休憩して頂き、その時に待ちのお客様が居なかったら場合にのみ続行、となる。再入店OKだから店の外へ出ても良い。実際、午前中に来店してアポが取れ次第外出し、また戻るという感じで利用しているお客も多いという。

 一方こういった店の財産とも言える女性の方をどのように調達するのかというと、たとえばこうだ。最近はあまり見かけなくなったけど、街頭でよくティッシュを配っていた、アレ。最近ではタウン誌系の雑誌、レディースコミック、もしくは郊外の団地の郵便受けに無差別に入れていくチラシといった募集広告によって賄われている。たーだし、こちらの方の殆どはフリーダイヤルになっていて、電話代は一切必要無い。

 それから、勿論『サクラ』も用意されている。店に入ったはいいが電話が鳴らないというのでは話にならんからなー。

 今回はここ迄。



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posted by サンタ at 11:18| Comment(0) | 本家山劇/となりの山劇 | 更新情報をチェックする
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