2015年04月02日

となりの山劇 No.113 DPEの謎 その3<DPEオペの話>

となりの山劇シリーズ


考えてみれば当たり前の話でした


 前回と前回と、いったい何処がDPEの話なんだか? でもご安心を。今回こそはきちんとDPEの話になる予定であり
ます。

 まず初っぱなから白状してしまうとですね、現在とあるジジョーがありまして、何故だかDPEショップに丁稚奉公しております。ここで言うDPEってのはアレよ。要するに正真正銘の現像プリントする店の事ですわな。どーしてそんな事をしているのかって聞いてはいけない。なにしろジジョーがあるんだから仕方がない。しかもこの丁稚奉公期間中はなーんとタダ働き。今のところオーナーから1円だって貰ってない。コラコラ。えーかげんにカネを出さんと降りるぞ。仏の顔も金次第(?)・・・って誰に向かって言ってるんだか。

 というジジョーでして、現在フィルムの現像から写真プリント迄を自分自身でやっているのであります。そうするとねー、今まで不思議だったと言うか、疑問だった写真プリントも謎が判ってきちゃったんであります。そして、写真プリント機っていうのは実に優秀であり、いじくり出すとオモシロイ機械だって事がわかってしまったのです。

永遠の疑問
【Q:何故写真を現像する店によって色が違うのか?】

回答
【A:操作する人が違うから】

 もう本当に、プリントってのは「人」に始まって「人」に終わるのです。全ての疑問はこの一言で全てを語ってしまうのです。これだけの説明で解りませんか?それでは順番に解説いたしましょう。


■真実その1

 ポジの色は撮影者が決めるが、ネガの色はオペレーターが決める!

 確か前回の時に『ラチュード』っていう言葉が出て、ポジはラチュードが低いけど、ネガはラチュードが高いって書いたと思う。これをね、誤解を恐れずに大胆に決めつけると、これは『光』の許容範囲の事。ポジの場合はこの許容範囲が狭く、少しの露出操作で明るい部分は簡単に色飛びをし、暗い部分はいとも簡単にツブれてしまう。だから、いつも適正な露出が必要になる。

 これがネガに置き換えると、明るく色飛びした部分はどうしようもないけれど、暗い部分は意外とディティールが残っている。という事は、多少適正露出を外れても大丈夫って事。ここの、『多少適正露出を外れても大丈夫』ってトコロが、実はネガの最大の武器だったりするのです。あっはっはっは。

 最近のプリント機っていうのは実に優秀でね。自動に任せておけばどんな状態のネガでも、どういう状況で撮影されたネガでも、ある程度は美しくプリントしてくれるのです。この仕組みの考え方は簡単。要するに『暗過ぎる』写真は機械側で強制的に『明るく』補正され、逆に『明るすぎる』写真は強制的に『暗く』補正されるのです。何だかカメラの自動露出とよく似ているではありませんか。

 ここではプリント機自体が1枚1枚の『適正露出』を測定して明るさのバランスをとるのです。な~んだ。じゃあ機械任せにしとけば全てオッケーなんだ。と、簡単に結論を出してはダメ。少しでもカメラを触った事がある人なら解ると思うのですが、全自動露出って便利ではあるけど完全ではないと思いませんか??

 皆さんポジを撮影する時に『段階露光』で5枚6枚と撮影してますよね。そういうのって、結局『露出の数値』を信頼はしていても信用はしていないって事でしょ。

 極論を先に言ってしまうと、プリント機の自動露出で作成される全てのプリントは、必ず適正から外れている。とも言えるのです。だって、プリント機の露出判断ってのは単に機械数値的に『明るい』『暗い』と判断するだけ。その絵柄内容を見て判断する訳では無いんですもん。

 例えばこんな場合。天気がいい昼間に部屋の中から窓を含めた撮影をした場合。このようなシチュエーションの場合、窓の光が明るければ部屋の中は真っ暗で窓の外が適正になり、窓の光が弱ければ窓の外が白く飛んでしまい、部屋の中が適正になるのではないでしょうか。

 さてここで問題ですが、果たして撮影者は窓の外と中のどちらを撮影しようとしているのでしょうか? もしかしたら、大部分は黒くつぶれてもいいから窓の外を写したかったかもしれないし、その反対だってあるかもしれません。このような思惑を、残念ながら機械は理解してくれません。

 今のは極端な話ですが、全てのネガには大なり小なりこの問題が当てはまるんですね。だから全自動で機械に任せてプリントすると、その殆どが少し明るいか、暗い写真に上がってしまうのです。

 ここで登場するのが、長らくお待たせしました。プリント機オペレータです。現在のDPEプリント機には小さなモニタがついています。プリントの際には1枚1枚このモニタに画像が映し出されます。オペレータはこの小さな画面を見て、機械が決定するノーマルよりも明るくするのか、暗くするのかを決定していくのです。どうですか。ここに『ヒューマン誤差』が存在すると思いませんか。

 今度はそのオペレータが『適正』だと思う基準に誤差が生じるのです。勿論一般的に、『誰が見ても適正』という明るさは存在します。長年この仕事に携わった人の判断はかなり精度が高いとも言えます。が、ここは人のやることなので、どちらかといえば『明るめ』が好きな人も居れば『暗め』が好きな人も存在します。

 一般的には風景はアンダーに、人物は明るめに、コントラストが高い写真はアンダーめに、曇りの日の写真は明るめに。というような殆ど『経験から身につけた基準』によって、プリントの明るさが決定されていくのです。


■真実その2

 ネガの場合、中途半端な段階露光は、はっきり言ってムダ。

 これも、今までず~っと疑問だった。撮影するとき、ちぃっと気取って露出を変えて何枚か撮影しても、出来上がって来る写真の出来上がりは同じ。しかも場合によってはアンダーめに撮影した写真が、ノーマル基準のつもりで撮影した写真よりも明るかったりする。何故なんだろう?

 この答えは既に判っているよね。少しくらいの、そう、3分の1とかの露出の違いなんかはみーんなプリント機が勝手に適正に戻してしまうのだった。さらに、それでも暗い写真等はみーんなオペレータの方が『後天的人的補正』を施してしまうのだった。だから、段階露光をした筈の7枚程の写真は全て同じ様な明るさになっつまう。これはこれで困ったものだ。

 ちなみに、機械の数値的には-10~+10まで調整可能。これがどのくらいの補正値なのかはわからないが、感覚的にEVの数値に相当するのではないかと思うのです。



>>> 山劇/となりの山劇 インデックス <<<



posted by サンタ at 17:57| Comment(0) | 本家山劇/となりの山劇 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
コチラをクリックしてください