2015年03月20日

となりの山劇 No.101 通勤の車窓

となりの山劇シリーズ


せめて車窓くらい楽しまなくては


 現在毎朝電車で名古屋まで通勤している。現在は岐阜に住んでいるが、名古屋までは快速で30分程かかる。名鉄で30分というと全然たいした事ないが、JRで30分という距離はたいしたものなのだ。(名鉄利用者の方、気を悪くしないでね)

 JRで30分の距離と言うとまず、気候が違う。笑うなかれ、冗談ではない。自宅は晴れていても名古屋は雨だとか、そのまた逆だったりという事は日常茶飯事である。

 気温も違う。夏は両方ともくそ暑いのでその差はあまり感じられないが、冬になるとよくわかる。ウチは伊吹おろしの直撃を受ける地域にあるので、朝起きると30センチ程雪が積もっていることがフツーにある。

 そんな日はまず車を救出する事から始まり、駐車場から道路までの通路を確保しなくてはいけない。そうやって朝からヒーヒー言いながら作業してから駅に向かい電車に乗るのだが、名古屋に接近する程雪が薄くなり、名古屋に着くと結局5センチくらいしか積もっていなかったなんてことがザラにある。

 気温はウチのほうが確実に寒い。名古屋ローカルを生中継する朝のテレビは極めて重要な情報であり、これで名古屋市内の天気状況を掴んでおくのだ。前置きが長くなったけど、そーゆー事で、今回のテーマ。

 毎朝、たいていは発車時間ギリギリに駅に到着するので、バタバタと急いで駅の階段を駆け上がり、ホームに立ってから息を整えます。

 そこで改めて岐阜方面を眺めると進行方向真正面に金華山の岐阜城が見え、その山々をずーっと左の方へ目を移していくと、北の方角には温見峠がある能郷白山が見え、西の方角の池田山の上には伊吹山の姿が見えています。これらの山並みが全てはっきりと見えるのは割と珍しい事で、曇りの日とか、晴れていても大気の透明度が悪いといった条件が良くない日には霞んで見えないのです。

 やがてやって来るいつもの電車に乗り、いつもの進行方向に対して右側の所定の座席に陣取り、ほっと一息ついてから外を眺めます。電車は動きだしてからすぐに長良川の鉄橋にさしかかり、今日の水量は少ないか多いかを眺めています。普段は水量が少なめの長良川ですが、雨が降った翌日なんかは水量が豊富で、水面が上がっていきます。

 あと、この長良川の景色はその日の天気によって様々に表情を変えます。中でも川面だけにもやがかかっているような幻想的な景色に出会えると、何だか得したような気分になります。

 長良川を渡ると、すぐ右側には西岐阜のコンテナターミナルがあり、たまに荷物の積み下ろしをしている作業の風景が見られます。この辺りはまだまだ田舎で、住宅の間に田んぼが広がっています。

 西岐阜駅を過ぎると、岐阜駅の高架が始まります。岐阜駅が高架になる前は民家の軒下をかすめながら走ったものものですが、高架になってから格段に眺めが良くなりました。岐阜駅の高架はかなり高度があり、普通のビルに換算すると5階ほどの高さ
があると思います。さらに岐阜市内には5階以上の建物がとても少ないので、岐阜県県庁や、県民ふれあいセンターが間近に見えてしまいます。

 電車が岐阜駅を出発すると線路は緩やかに右にカーブしていきます。もし、金華山を眺めるのが目的ならこの位置が一番いいアングルです。

 電車が高架から下りて、しばらく盛土の上を走り、木曽川の鉄橋に差し掛かる手前の右側に、笠松競馬の馬舎がずらーりと並んでいる場所があります。その中の練習用のトラックには常時数頭の馬がのんびりと歩いているのが見えます。

 馬舎を過ぎるとすぐに木曽川の鉄橋があり、そこでもやはりいつも水量が気にかかります。面白いのは、長良川の水量が多い時に必ずしも木曽川の水量が多いとは限らない点です。もちろん逆の場合もあります。それは多分ね、水源地が違っているせいだと思うんです。

 木曽川駅を過ぎると右の方から名鉄の本線が寄り添ってきて、ぴたりと並走します。私の時間帯ではあんまり無いのですが、別の時間に乗ると、同じ方向に名鉄電車と並ぶ時がありまして、すると乗っている電車のスピードがにわかに上がりるのがわかります。明らかに競争をしていますね。今迄はたいていJRが連勝していたのですが、最近は名鉄の方が早いみたいですね。

 そうしているうちに再び一宮の高架が始まり、電車は尾張一宮駅に到着します。この辺りまで来ると周辺の田んぼは殆どありません。付近一帯は住宅街になっています。一宮駅の高架は、岐阜駅ほど高度がなく、しかも周りは高いビルが多いので眺めはさほど良くはありません。

 一宮駅を過ぎると名鉄線は再び「右」の方へ別れてゆき、線路は次第に高度を下げていきます。名神高速の下をくぐると線路の分裂が増えていき、どんどん線路の本数が増えていき、やがて稲沢駅に到着します。

 稲沢駅ホームの真横にはJR貨物の機関車点検整備工場があり、整備待ちの機関車が多いときで数十台が軒を連ねて休んでいる姿は結構好きだったりします。ここから清州駅に向かって線路の数が減っていくのですが、この間にコンテナ車がズラリと並んでいて、これもなかなかの壮観だったりします。

 清州駅の右側真ん前には「アラクス」の工場があります。駅を発車すると右側から今度は新幹線が寄り添ってきます。その辺りで今度は電車の左側を見ると、ちょうど清州城が見えるんですね。清州城前の五条川には桜の木が多く植えられていて、春になると桜の名所になっているようです。

 電車が東名阪自動車道の下をくぐると、今度は左側にキリンビールの工場があり、工場を過ぎると左の方から城北線が寄り添ってきて、上から被さるように合流します。丁度この時、毎日間違いなく電車の右側をディーゼル機関車の3重連とすれ違うのです。同じ時刻っていうところが面白いと思いませんか。

 枇杷島の駅の右側には明治製菓のガム工場があります。ここで生産しているのでしょうか。枇杷島駅を出発するとすぐに新川を渡ります。この時、必ず東京行きの「のぞみ型ひかり」が減速してきて、きっちりと横に並びます。こちらの車両に小さな子供が乗っていると「新幹線だー」って、大変喜びますね。

 庄内川を越えると電車はいよいよ名古屋駅に近付きますが、その前に「左側」から名鉄本線が寄り添ってきます。先程、一宮で「右側」に別れたはずの線路が、反対側から寄り添って来るのが少々不思議なところです。この辺りからJRも線路の本数が増えてゆき、名鉄本線が地下に潜る頃、電車は静かに名古屋駅に滑り込んでいくのであります。

※追記
今ならセントラルタワーだね。これが清州辺りから遠くに見え隠れしていて、名古屋駅に近付くにしたがってどんどん大きくなるんだ。セントラルタワーで可笑しかったのは、雨降りの日。建物の頂上が雲に隠れて見えない時がある。雨雲ってあんなに低かったのか、と、思いました。



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posted by サンタ at 18:09| Comment(0) | 本家山劇/となりの山劇 | 更新情報をチェックする
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