2016年03月01日

山劇 No.125 クックパッドの新サービス「Holiday」について

山劇/となりの山劇シリーズ
面白い企画だが少々気になるところがある
おでかけプランの投稿・共有サービス『Holiday』
「Holiday」サイトへの投稿記事一覧

Holiday(ホリデー)」というのは、料理レシピで有名なクックパッドが発信する新しい「旅レシピ」の総合サイトです。ユーザが旅の思い出等を記録する事によって「休日の過ごし方」を共有するサイトになっているようです。

このサイトが発足したのが2014年5月頃。ユーザが簡単な操作でまるで雑誌のページを編集するが如く感覚でレシピが仕上がることがウリ。このサイトに何故か縁があって関わったきっかけは、ある日突然Holiday側からツイッターの中で誘われたから。しかし、そもそもツイッターで誘われる事自体が非常に怪しいではありませんか。なので最初は全く相手にもせず適当に受け答えて聞き流してました。それでもなお熱心に誘って頂けましたので、それならと試しに話に乗ってみたというのが投稿を始めたきっかけですね。
幸いにも掲載するネタはそれなりに揃ってます。季節を考えて地道にレシピを増やし続けた結果、2015年6月現在で100プランに到達しました。以前から個人ブログもあり、相互でリンクを貼ることでブログへの集客効果を多少期待していますし、その逆もあるかと思います。今のところどれ程の効果が現れているか不明ですが、悪い関係では無いようです。
ホリデーのシステムとは、元々記事を書く経験が無い方でも簡単にレシピを作成可能になるよう様々な工夫が込められています。誘われた当時からも日々改良が加えられ、現在ではかなり便利になって来たと感じます。

とても面白いシステムだと思うのですが、一つだけ。「写真」の取り扱いについてモヤモヤが晴れません。これは一度実際にホリデー本サイトをご覧になる方が早いかと思いますが、そのモヤモヤとは「他人の写真を無断借用」してるのではないかという疑問です。ホリデーで旅レシピを作成する際に自己写真の他にも複数候補写真から使用したい写真を選択出来る仕組みになっています。これが予めホリデー側で用意した写真なら問題無いのですが、実際には全く関係無い他人のHPやブログの写真を表示して選ばせるような仕組みになっています。選択後は一応「参照元」と「引用HP名」が入り、リンクで元サイトに飛ばすような仕組みになってますが、それで「承諾を得た」事になるのでしょうか。自治体系の公的観光サイトや民間企業HP、個人ブログの写真を無断で拝借してしまう(パクる)システムは正直あまり褒められたものではありません。注意深く調べてみると、元HPから(恐らく無断)転載したブログ写真を更に(恐らく無断)転載したケースもありました。写真には必ず著作権が存在します。ネット上に存在する殆どの写真はフリーではありません。写真を使用する際は必ず著作権を所有する方から事前承諾を得る事が重要。極端な話、双方できちんと契約書(約束)を交わし使用料を支払う必要があります。これを恐らくクレジットを入れる事により承諾を得たことにする解釈としているかと思いますが、それは写真所有者(著作者)が最も嫌う行為であり、厳密には間違っています。少なくとも一流の会社が行うべきではありません。ここでもう一つ発生している問題があります。それは写真を選ぶユーザがあらかじめホリデー側で用意したフリー写真を利用していると解釈し、写真の著作権について知ること無く無意識のうちに著作権違反を犯している可能性があるという現実。つまり、無意識のうちに他人の著作権がある写真の事前使用許可を得る事無く、無断で借りパクした作品を仕上げてしまっている可能性があるのです。現在のシステムを今後も継続するのならば、ユーザが選んだ全ての写真のよく分かる部分に著作者(撮影者)名をきちんと明記し、ホリデーから責任をもって著作元サイトへ写真の使用許可を代行申請するべきなのではないでしょうか。

ホリデーの旅レシピ企画はとても面白いと思います。継続することによりいずれ巨大なデータベースになるかと思います。しかしここで便利な「写真」システムこそが企画のアキレス腱になるだろうと予想します。例えばクックパッドで料理レシピを掲載する際、全く関係無い他人サイトに掲載されている調理写真を、綺麗だからといって勝手に拝借するでしょうか。オリジナルを謳う方は写真のパクリ行為なんて絶対やりません。元写真の著作所有者が勝手に掲載された写真を発見した際、使用差し止め、あるいは損害賠償を訴えられても文句は言えません。中でもデイズニーランドとUSJは著作に関して特に厳しい事で業界内では有名。あらかじめ決められた用途のみ認可され、例えばパンフやWebからの写真流用でさえ厳禁となっていますので要注意です。

現在プランの様子を見ていると9割以上の写真が「無断借用写真(著作権違反の疑いがある写真)」かと思います。とはいえ、このシステムって便利なんですよね。例えば温泉外観の写真は撮れても、湯船の写真はほぼ不可能。そんな時に探すとあっさり発見することができます。「便利なシステム」と「法的遵守」をどのように擦り合わせるのか。社会的に知名度がある会社程、著作権という問題に正面から向き合うべきであり、これがサイト運営としての重要な責任問題であり今後の課題だと思います。

更にもう一つ。クックパッドのブログを拝見すると詳しいことは分かりませんが、どうやらおよそ2年限りの試用運用らしいです。現在は完全なボランティア状態で、サイトに広告も無ければユーザに対して一切の料金の課金も報酬も発生していません。現在のところその点が唯一の救い。個人SNSの集合体でいる間は「多分」大丈夫(※ディズニーとUSJ関連を除く)。しかし今後サイトを継続発展していく為に必ず何処かに何らかのビジネスが絡んでくるのではないかと想像します。ビジネスに移行するためには、現状のままでは「写真の著作問題」が足を引っ張るのは間違いありません。自分が撮影した写真に関しては昔から「商売で使用しなければ個人使用OK、ただし使用する際は要連絡」のスタンスで通しています。決してパブリックドメインとして公開してる訳ではありません。著作にデリケートな業界に身を置いているので気になって仕方ないのです。しかし今からそんなことを心配しても仕方ありません。その時が来たらまた考えたいと思います。

※追記(2015.3.30)
先日ある方からHolidayに写真の著作権に関する質問をして回答を頂いたというお話を伺いました。回答を要約すると『Googleが提供している「画像API」を利用しているから問題ない』だそうです。更に『削除依頼があった場合は迅速に対処する』とのこと。しかし実のところ『Googleが提供している「画像API」』こそが著作権に関して怪しい仕組みではないかと疑っております。今回のHolodayからの回答を意地悪に裏読みすると『著作権者から削除依頼が無い限り放置』、『著作権者にバレなければオッケ』ということになり、もし著作関係でトラブルが起こっても『google画像API』のせいにして逃げる気満々とも読み取れます。『「著作物の引用」という範囲』という部分も解釈が難しい部分で、認められるのは主に公的目的であり、引用部分が「従」である時のみ認められ、引用した場合には引用元、写真の場合は元サイト及び著作者(所有者)を明らかにする義務があります。Holodayの場合はいかがでしょう。引用された写真は「主」でしょうか、「従」でしょうか。この辺りは法的に限りなくグレーゾーンです。あとは利用する人のモラルの問題かと思います。繰り返しますが、一流の会社こそ死角が無いようキッチリ配慮するべき問題かと思うのです。

※追記(2016.3.7)
現在、プランを作成する際に自前の写真が無くても用意された写真を使用する事が可能なシステムになっています。実際に検索すると様々な写真が次々と紹介されますが、その中で「PIXTA」の写真のみ正式に提携されているという事で安心して使用出来るようです。それ以外の写真は著作権が怪しい「パクリ行為」の可能性があるので使用に際して注意が必要です。



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posted by サンタ at 00:00| Comment(0) | 本家山劇/となりの山劇 | 更新情報をチェックする
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