1987年7月12日(日)
ぬくぬくとした布団の中、朝8時頃に目が覚めた。外を見ると朝もやが立ち込める白い世界で、しかも小雨がちらついている。しかし、それでも晴れていて明るい?という変な天気。
昨晩のメンバーで朝食を済ませ、いい加減着るのが飽きてきたカッパを着用し、9時頃に出発した。昨日はだらだらと富良野までやってきてしまったが、今日は札幌へ行かなくてはいけない。というのも、実は今晩札幌ビール園で、サッポロビールと民放数局主催の全道同時生中継で『おーい北海道・ビヤトーク・イン・サッポロ』というイベント番組があり、『やどかりの家』もそのイベントに参加することになっている。
数日前宿泊したヤドカリの家で来ないかと誘われ、「行きます」と約束をしてあったのです。集合はサッポロビール園の現地集合で、昼の12時。うーん、あんまし時間がないかも。
富良野を出発してから国道38号線で一旦北へ向かい、途中、452号線へ入り込んだ、という辺りまでは覚えているのだが、そこからどうやって札幌へ行き着いたのか、まるで記憶が無い。というのも、452号線に入った途端に豪雨になり、道がほとんどダートだったものだからもうドロドロ状態。
数日前支笏湖で経験したドロドロを遥かに上回っていた感じ。だから途中地図を出すにも出せず、僅かな標識を頼りに走っていた。とりあえず支線にさえ入り込まなければ何処かに抜ける、という計算はあった。
んでね、そのドロドロダートが40キロくらい続いて、途中どこかの鉄道の駅の横を擦り抜け、それでもどんどん走って、何か公園らしき横を通り、気が付いたら札幌にいた。という事なのです。バイクはすっかりドロまみれだったけど、その頃には雨はすっかり上がって快晴になっていた。いやー、まいったね。何とかなるものだ。
札幌ではまさかの展開に
サッポロビール園に到着したのは約束の時間よりも1時間遅れの午後1時。無事バイクを停め、ドロドロ状態の荷物はどうしようかなと思ったけどそのままにし、貴重品だけを持って会場の中へ入った。すると、丁度これから中継放送が始まるところだった。
会場内に突入すると、数日前に別れたばかりなのに懐かしいヤドカリ衆とすぐに合流できた。当然見たことが無いメンバーも多い。とにかくこうして再開できたんだからとビールで乾杯し、好きなだけ食べられるオードブルでハラペコの空腹を満たした。会場内は既に異様な盛り上がりをみせていて、とにかく飲んで食って歌って騒いで大満足である。
閉会後、ヤドカリ衆はしばらく園内で酔いを覚ましつつぶらぶらしていた。酔いをさましつつ今日は何処で寝ようかな、明日はいよいよ小樽だよなと考えてたら、
「今日は何処か泊まるアテがあるの?よかったら私達と一緒に来ない?」
どうやら札幌市内で泊まるあてがあるらしい。話をよく聞くと、東警察署前にある『ジッピーバニー』という名前の、いわゆる『ジャズ喫茶』なのだが、店が閉店後に店内で泊まらせて戴けるという話がついているらしい。とりあえず話を断る理由がない。
「ぜひ、お願いします。」
話は決まった。適当に酔いが覚めた所で挨拶がてら荷物を預かってもらうために、店へ向かう。何処をどう走ったのか、とにかく離されないように走るのがやっとの状態で後をついていって、その店に着いた。そこで少し時間を潰していたら夕方になったので、じゃあススキ野へ行こう、という事になった。
ススキ野で仁義なき回らない寿司対決が勃発
ススキ野に着くやいなや、ラーメンを食べようという事でいざラーメン横丁へ行ってみたが満員。どーしよーかねーとブラブラしていて、結局リッチに『すし』を食べる事に決定。しかも回っていない店。そこで我々は緊急会議を開催し、一つのルールを決めた。それは『どれだけ食べてもワリカン!恨みっこなし』というものだ。ふふーん、受けて立ってやろうじゃないの、悪いけど、私はいまだかつてワリカンで負けた事はない。無敗を誇っているのだよ。
ひそかにシメタと思っていたら、ほかの連中、食べる食べる、あんたら昼にあんなに飲み食いしたじゃないの、ヤバイヤバイ。などと言いながら負けずと食べるだけ食べた。勘定の事なんか知ったことではない。こうなるともう、オトコの意地である。
てなわけで、あれだけ食べたのに勘定は数千円。とりあえず平均以上は食べたのではないだろうか。それにしても美味かった。あの味と量でこの値段。これだから北海道っていいねー。なんだか今日はお昼から食べてばかり。
それから夜の大通り公園や、道庁のあたりをぶらついていたが、それでも時間が余るので、駅前にあるホテルの『スカイラウンジ』に入ってねばる事になった。このラウンジは眺めがよく、しかも一時間に一周回転するので、案外退屈しない。結局そこではドリンク一杯で2周は回ったと思う。
布教活動も大切なお仕事です
夜の11時頃、ホテルを出た我々は札幌駅前に向かった。ヤドカリの家の布教活動、もとい、紹介と勧誘。要するにビラ配りだ。少し肌寒い札幌駅前には本日の野宿組が十数人居た、なんだか少ない。それでも一人一人、周囲の全員にビラを配った。布教活動を終えて宿になる店に戻ったのだが、まだ閉店まで時間がある。仕方なく近くのゲーセンで時間を潰してから店に入ると、なんと昼のビヤトークで布教活動(ナンパ)した女の子がいたので驚いてしまった。いったい誰の誘いが効いたのだろうか。
店は閉店のはずだが、そこにいるメンバーで再び酒盛りになった。その時のビールは、連中のカバンの中から出るわ出るわ。ビヤトークで騒いでいた間にそーんな事をしてたんだね。知らなかったのは自分だけかも。
そんな騒ぎも2時頃にはお開きとし、ビールの酔いも手伝ってか、皆さん明日に備えてさっさと寝てしまった。今日の前半はロクな事なかったが、昼からは飲みっぱなしで食べっぱなしでした。おかげでほとんど走っていない。そういえば、セローの事をすっかり忘れていたな、あいつは今、どこで寝ているのだろうか。明日は小樽で合流の予定。
本日の走行距離... 142km
次号その12 長かった北海道もこれでお別れです
- その1 再び北海道の季節が到来!
- その2 出発時の期待と不安は独特のものがある
- その3 とにかくひたすらやることが無い
- その4 下船後は右に進むのか左に進むのかそれが問題
- その5 ニセコ、そして羊蹄山を攻略
- その6 朝からの雨のせいで出発する気分まるで無し
- その7 本日は帯広で連泊です
- その8 朝からご機嫌のダートを走り抜ける
- その9 ライダーのメッカ開陽台を目指す
- その10 とりあえず札幌に向かいます
- その11 昼過ぎに札幌で集合することになっている ←今ココ!
- その12 皆に見送られて小樽へ向かう、そしてフェリーへ
- その13 上陸直前、またしても雨が降ってきた、そして帰宅
- 北海道ツーリング1987 その13
- 北海道ツーリング1987 その12
- 北海道ツーリング1987 その10
- 北海道ツーリング1987 その9
- 北海道ツーリング1987 その8
- 北海道ツーリング1987 その7
- 北海道ツーリング1987 その6
- 北海道ツーリング1987 その5
- 北海道ツーリング1987 その4
- 北海道ツーリング1987 その3
- 北海道ツーリング1987 その2
- 北海道ツーリング1987 その1
- 北海道ツーリング1984 その7
- 北海道ツーリング1984 その6
- 北海道ツーリング1984 その5
- 北海道ツーリング1984 その4
- 北海道ツーリング1984 その3
- 北海道ツーリング1984 その2
- 北海道ツーリング1984 その1
- 東北ぐるり一周18きっぷの旅 1998 その9