1987年7月8日(水)
昨日迄の雨がウソの様な快晴に恵まれた、気分は最高。そそくさと出発の準備を済ませ、朝の9時頃に『ヤドカリの家』を出発した。途中まではカトーと一緒である。カトーの荷物は昨日同様に満載で、しかもテントをカトーの方に持たせてある。自分は今晩もヤドカリの家で連泊するのでテントは必要無い。不必要な荷物を全部宿に置いてきたので、とても身軽である。
帯広から北上しながらお互いのバイクを見ると、昨日のドロドロ道のおかげで見事に真っ白。見るも無残なので、立ち寄ったガソリンスタンドで洗車して綺麗に磨き上げた。なんとなく気分一新である。
途中、国道241号線と道道35号線が交差する場所で、自分は糠平湖方面へ左回り。カトーは然別湖方面から右回りへと別れた。途中、然別湖辺りですれ違う予定で、カトーはそのまま足寄路から釧路へ向かうと言う。その先は聞いていない。
帯広市街を抜けるとそこは見渡す限りの広大で雄大な牧草地帯。ゆっくりと景色を楽しみながら走り、渓流地帯を抜けると無事糠平湖に到着した。糠平湖は、なんとなく寂れた感じがするが、静かで感じが良い湖だ。雨と霧で近くの湖面しか見えなかった支笏湖もこんな感じだったのだろうか。
葉のサイズが半端無くでかい
糠平湖の周辺には自転車用とみられるサイクリングコースが至る所にあり、そちらの方が景色が良さそうだったので、誰も居ないことを確認してからそのコースに進入して走っていた。しばらく走ると廃線になって間も無い感じの国鉄の駅があった。うーん、旅情。
改めて眺めると帯広は広い、広すぎるぞ
糠平湖で少し時間を潰してから然別湖へと向かったのだが、途中、幌鹿峠迄の道は実に北海道らしくないタイトな峠道で、後から聞いた話によると地元ライダーのメッカだという。幌鹿峠では、初めて『キタキツネ』を見た。でもなんだか汚いし、痩せている。牧場のキタキツネとは大違いだ。その然別湖への途中で逆周りコースのカトーとすれ違った。
「あしたの夕方だぞー、間違えるなよー。」
「先輩こそ寝ぼけて道に迷っちゃあだめですよ。」
お互いの無事を願って別れると、然別湖には昼頃に着いた。とりあえず小屋で昼食を済ませ、湖畔で休んでいると、偶然にも(あたりまえだ!)はっきり言って好みタイプの地元女性ライダーがこちらに向かって来るではないの。もちろんこちらに用事があるわけないのだが、はっと我に返ると然別湖をバックにして一緒に記念撮影をしていた。しかし、何かに取りつかれたようにボーっとしていたのか、肝心な住所と名前と電話番号を聞くのを忘れてしまった。未だに悔やまれる一生の不覚とはこのことを言う。
然別湖から先は、帯広平野を一望のもとに見渡せる『扇が原展望台』がある。その日は快晴だったのでかなり遠くまで見える。地平線の先まで牧草地帯が続いているかのように延々となだらかな平野が広がっていた。
展望台を過ぎると、道道と平行に走る美味しそうなダートがあるのを発見。調子に乗ってダートに側を走っていると、気のせいか地面にキャタピラの跡がある。しばらく走るとダートの出口になった。建っている看板を見てみると、『自衛隊演習地、関係者以外侵入禁止』と書いてあった。しかも、その後暫くして本当に自衛隊の部隊とすれ違った。もしかしてあのキャタピラの跡は・・・・・。考えるのは止めよう。
ヤンキー姉妹登場!次は花時計とワイン城
そこから先は、むっちゃ広い牧草地を、おいしそうなダートを求めてそれこそアミダ状態に走っていった。するとね、道に迷ってしまったのだよ。あっはっは。大体の方角は正しいと思うが、とにかく目標物がまるで見当たらない。弱った弱ったと言いつつ、楽しそうに走っていたら郵便局があったので、道を聞くことにした。そーしたら局員のオジサンがいい人でねー、妙に話が会って盛り上がってしまい、場所を教えてもらっただけでなく、オロナミンCももらってしまった。
どの道を選んでも真っ直ぐ
位置を確認したら、次は十勝川温泉にある世界一大きい(今もかな?)花時計だ。今度は道に迷わないできっちりと到着すると、そこには地元らしき少しヤンキーっぽいアルト姉妹がいて、カメラを持ってウロウロしていると声をかけてきた。
「私が撮ってあげるよ。」
姉妹の姉キの方が私に声を掛けてくれたので、これ幸いと撮影をしてもらってからいろいろ話をしていると、どうも妹の方が、自分の元住んでいたアパートから15キロくらいしか離れていない大垣市内で働いていて、今は実家に帰って来ているが、また大垣に戻るという話だった。
さて、次は池田のワイン城だが、途中の道で先程のアルトが背後からやってきて、いきなりぶち抜かれて、しかもぶっちぎられてしまった。TWは決して無理しない(できない)。先ほどワイン城へ行くことは教えたので、まさか待ち伏せをしているのではあるまいなと思ったら、予想通り、先に待っていた。その後はアルト姉妹にワイン城を案内してもらい、ワイン城でアルト姉妹と別れた。
意地でも全部回るのだ
次に行ったのは豊頃町のハルニレの木だ。この木は国道から見ると平原にポツンと立っているが、近くに寄るとかなり大きい。近くに停めたバイクが豆粒のように見える。
草原の中にぽつーんと立っている
そろそろ日が傾いてきた。今日はこれで止めにしようかと思ったけど、全部回ると大口叩いて来た手前、意地でも計画通り回ることにした。次はピョウタンの滝だ。しかし到着時には既に薄暗く、正直言ってあまり景色が見れなかった。これで本日の予定は全て終了。ピョウタンの滝を後にすると、太陽はちょうど山に沈もうとしていて、黄金に輝やく牧草地の中を帯広に向かって走った。
途中、『幸福駅』と『愛国駅』に立ち寄ったが、既に廃線になっていて、人影は無かった。思えば前回、2年前に来た時はまだ廃線になっていなくて、幸福駅は賑やかだった。あれからたった2年で、こんなに変わってしまったのだ。少し感傷的になった。
午後8時、ヤドカリの家に戻るとカトーを除く前日のメンバーが全員揃っていて、私の帰りを待っていてくれた。それから皆で食事に出て、風呂に入って、明日のコースを検討してから寝た。今日のヤドカリは3人です。疲れました。
本日の走行距離... 343km
次号その8 集合地点に向け単独で釧路を目指します
- その1 再び北海道の季節が到来!
- その2 出発時の期待と不安は独特のものがある
- その3 とにかくひたすらやることが無い
- その4 下船後は右に進むのか左に進むのかそれが問題
- その5 ニセコ、そして羊蹄山を攻略
- その6 朝からの雨のせいで出発する気分まるで無し
- その7 本日は帯広で連泊です ←今ココ!
- その8 朝からご機嫌のダートを走り抜ける
- その9 ライダーのメッカ開陽台を目指す
- その10 とりあえず札幌に向かいます
- その11 昼過ぎに札幌で集合することになっている
- その12 皆に見送られて小樽へ向かう、そしてフェリーへ
- その13 上陸直前、またしても雨が降ってきた、そして帰宅
- 北海道ツーリング1987 その13
- 北海道ツーリング1987 その12
- 北海道ツーリング1987 その11
- 北海道ツーリング1987 その10
- 北海道ツーリング1987 その9
- 北海道ツーリング1987 その8
- 北海道ツーリング1987 その6
- 北海道ツーリング1987 その5
- 北海道ツーリング1987 その4
- 北海道ツーリング1987 その3
- 北海道ツーリング1987 その2
- 北海道ツーリング1987 その1
- 北海道ツーリング1984 その7
- 北海道ツーリング1984 その6
- 北海道ツーリング1984 その5
- 北海道ツーリング1984 その4
- 北海道ツーリング1984 その3
- 北海道ツーリング1984 その2
- 北海道ツーリング1984 その1
- 東北ぐるり一周18きっぷの旅 1998 その9