2014年10月13日

北海道ツーリング1984 その3

山劇トラベルシリーズ
CBX400Fは快適快調~

 朝になった。ツーリング3日目である。目が覚めると、ちょうど隣のおっちゃんも目が覚めたようだった。
 しかし、なにぶんにも自分には時間が貴重だ。慌ただしく朝食を食べられるだけ食いだめして、おっちゃんと別れの挨拶をし、急いで宿を出た。

 今だから言うけどね、話をしていて決して悪い人ではないというのは感じたけど、このおっちゃんの事を全面的には信用してなかった訳。だから寝る時は貴重品を抱いて寝たし、何か音がすると目が覚めてしまった。でも、どうやらとりこし苦労に終わったようだ。おっちゃん疑ってごめんね。

 さて、函館を出発すると、真っ直ぐと長万部を目指して走った。函館朝市? そんなの知らないっすよ。函館の夜景? 知ってたら登ってたし。長万部のカニ? 貧乏人には縁が(円がともいう)ありません。てなわけで、脇目も振らず走りに徹し、気がついたら室蘭を通過していた。

 ここ迄の道路は綺麗に整備されていてとても走りやすい。しかし同時に車も多い。周りの流れに身を委ね、だらだらと走っていたら苫小牧に着いた。苫小牧は重要な分岐点でもある。特に目的地を決めず、とりあえず北を目指してここまでやって来てしまったが、そろそろ今日の目的地を決めなくてはいけない。

 苫小牧から進路を北に向ければ札幌。札幌も捨てがたいが、その時何故か屈斜路湖へ行きたくなった。屈斜路湖を目指すという事は今日は、出来るだけ東へ進んでおきたい。それなら目指すは何処だと地図を広げてみて、目についたのが帯広。という訳の解からない理屈でもって今日の目的地は帯広と決定。

 幸いにも(不幸かも)朝の飯をたらふく食いだめしたので空腹感はそれほど無い。北海道における距離感覚にもすっかり慣れた。とりたてて慌てる事は無いのである。特にスピードを出さずとも平均60キロキープして走れば1時間で確実に60キロ走破可能。それにしてもCBX400Fのシートは居心地がいい。これだけ走り続けても全く疲れない。函館から苫小牧まで休憩なしのノンストップで走っても、まだまだいけるし楽勝!という気分なのであります。

 帯広ヘ行く為進路を東に向け、このまま海岸線沿いに走る事にした。途中、むちゃ広々とした草原の中に工場がポツンとある何かしらシュールな風景の中を通過し、車が全く走っていない海岸線の道を暫く走ると「日高はこっち」という標識があったので、その標識に従って内陸へと突入した。

 道路は牧場の間を縫うように走り、あちこちで馬の群れを見ることができた。中には観光牧場のような施設もあったようだが、横目で見ただけで通過する。道はやがて険しい山の中へと入っていった。

 地図で見るとたいした事はなさそうだったが、実際体験する日高山脈は険しい山だ。天気は今のところ雨どころか曇りの気配もない。そのままお気軽なピクニック気分で日勝峠に向かって進むと、いつの間にか未舗装路になってしまった。北海道に来て始めてのダート。いや、それどころかその時までダートなど走った経験なぞ殆ど無い。しかも当時ダートを走る事にあんまし興味が無かったので、困ったと思いながら仕方なく走った。結局この未舗装路は峠を越えるまで続く事になる。

 舗装してない道を用心して走っていると、峠付近でイキナリ霧が出現し、峠のトンネルで視界が極端に落ちた。これまた霧というのも初めての経験で、どこかワクワクしながらトンネルの出口を真っ直ぐに走ると……突然目の前に崖が出現して急ブレーキをかけた。この時は死ぬほど驚いた。

マジ死ぬかと思ったし。

 トンネル出口のカーブが霧で全く見えなかった。不慣れなダートに初めての霧。慎重に走ってスピードを落としていたのが幸いし、おかげで崖から落ちないで済んだ。でもよー、ガードレールひとつ無いんだもんなー。酷いよなー。ったく~。

 一人ぶーたれながらも、峠では辛うじて命拾いし、無事に十勝平野に降りたのでした。するとね、先程まであれほど濃厚だった霧がスパッと晴れてしまったのです。よーわからん天気だ。流石北海道。

 さて、今日は帯広駅で泊まろうかとも考えたけれど、峠を越えたら途端に寒くなってきたし。野宿計画はさっさと捨て去り、帯広駅前のビジネスホテルに決めたのでした。ちなみにこの当時、北海道内のライダースハウスの存在を知りませんでした。残念だなぁ。

次号 一気に最北端を目指します



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posted by サンタ at 22:06| Comment(0) | 山劇トラベル | 更新情報をチェックする
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