2014年09月18日

東北ぐるり一周18きっぷの旅 1998 その9


山劇トラベルシリーズ


いよいよ旅も終わりです





 このまま行くと新津で新潟行きへ接続する予定だが、新発田での停車時間が長いと思ったら、近道で新潟へ行く臨時快速電車がやってきた。ここでどうしようか約5秒程迷ったが結局急いで乗り換えた。さすが快速は速い。乗り換えてから30分もたたないうちに新潟駅に到着。


by santa_dx



 今回の長かった鉄道旅行は、ここ、新潟が実質上の最終ポイントである。というのも、今日は新潟駅22時16分発の寝台急行「きたぐに」に乗車する手筈になっているからである。この寝台急行でもって一気に翌朝米原に到着し、それから約1時間半後には自宅の人となる予定。

 実は、今迄寝台列車に乗ったことが一度も無い。この機会を利用して乗ってみようと企んだのである。当然青春18きっぷの規約外となるので、新潟から自宅までは正規料金で乗ることになる。内訳は乗車券が8,190円、寝台券が5,250円、急行券が1,260円となり、この区間の料金は合計14,700円。なんと4日間乗り倒した青春18きっぷよりも高い。ちなみに寝台はB寝台だが、それでもこの機会に乗りたいという気持ちが強く、涙をのんで料金を支払った。これが今回の旅行中で一番の出費であった。


by santa_dx


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 乗車券を確保した後、さっそく晩飯にありつこうと広い新潟駅から出てからふと財布を見たら、ぬわんと財布の中には4,000円しか残っていない。そういえば、出がけ前に必要最小限だけの金額しか財布に入れなかった。残りは全部郵便局に預けてきた。さぁどうしたものか。

 ここで元々乏しい頭脳をフルに活性化して考えた。そうだ、新潟のような大きな都市の駅近くには必ず中央郵便局があり、夜の7時頃まではATMが開いているにちがいない。そう考えて郵便局を探すと、果たしてそれは予想通り駅近くにあり、これはラッキーと思って行ってみると、今日は休日扱いで扱い時間が早く終わってしまっていた。アンラッキー。

 ということで、酒処新潟まで来ての地酒飲みまくりプランはあえなく挫折し、肩を落として新潟駅に戻る途中に見つけた、黄色い看板の「回転寿司」に入ってみた。

 なんとなく入った店だが、これがよかった。安いランクの160円皿で殆どの種類を食べることができ、それでもってネタが大きくて旨かった。考えてみりゃ今回の旅行ではロクなものを食べていない。昼間からひたすらビールを飲んでいた事もあったし。

 腹いっぱい寿司を食べて、カニ汁まで飲んで、しかも財布の中には1,000円以上が残った。これだけあればワンカップとつまみくらいは買える。


お手軽市内観光はバスに限る


 再び新潟駅に戻ってみたものの、出発にはまだ時間があった。時間まで何をしようかと思ってなんとなく駅前バスターミナルを眺めていたら、循環バスの文字が目に入った。よく見るとその系統はここ北口を出発して市内をぐるりと廻ってり、駅南口へ到着するバスであった。
 
 「しめしめ、これでお手軽市内観光をしてやれ。」
 
 念のためにその所要時間を市バス観光案内所に尋ねてみる。
 
 「あのー、この循環バスですけど。」
 「はい。」
 「南口終点までの所要時間を知りたいのですが。」
 「はぁ?」
 「ですから、南口迄行きたいのですが。」
 「南口でしたら、手前の駅連絡通路を通れば5分程ですが。」
 「いや、あの、そこをバスで行きたいのです。」
 
 尋ね方が不味かった。窓口で思っきり怪訝な顔をされたが、知りたい情報を教えてもらい、やってきたバスに乗りこんだ。しまった、料金を聞くのを忘れた。百円玉あったっけ。

 発車時刻になると、自分を含めて5人ほどの乗客を乗せたバスはターミナルを発車し、繁華街をいろいろと通過していった。時間のせいか車は少なく。商店街はまだ賑わっていた。市内を流れる川は川幅が広く、リバーサイドにはネオンが瞬いて幻想的だった。

 それから一旦市役所で停車してから今度はいかにも街道という感じの道を通って新潟駅南口に到着した。時間にして40分程だっただろうか。


あこがれの寝台列車がホームに入ってきた


 残ったお金で電車内での酒とつまみを購入したら、財布の中はほぼ空になった。もうこれ以上はお金は必要ない筈。何かあったら笑ってごまかそう。

 電車が来る予定の5番ホームへ降りたが、まだ姿が見えない。しばらく待つこと数分、21時36分きっかりに「急行きたぐに」が入線してきた。

 この寝台急行は、いわゆる「ブルトレ」ではない。どちらかというと外観は特急型に似ているが、寝台車の特徴として背が高い。初めて乗る寝台車にドキドキしながら車内に入ると、予想していた構造と少し違っていた。通常ブルトレは通路がどちらかの窓際にあって、6人ずつの小部屋状になっているものだと思っていたら、真ん中の通路を挟んで左右に3段ベッドがずらーっと並んだ構造になっていた。


by santa_dx


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 列車内はまだ殆ど乗客が乗っていない。自分は3段ベッドの最上段なので、さっそく指定の場所を探して荷物を放り上げる。3段式はすごく狭いと噂には聞いていたが、噂以上の狭さである。

 中で座ると頭がつかえてしまうし、着替えは至難の技だ。実際に寝転がってみると、手を伸ばせば天井に届く。しかもその天井は丸くなっているので余計に狭く感じる。これならば巷にあるカプセルの方がよほど広い。しかし、実際には構造的に中段よりも床面積は広いかもしれない。

 予想外だったのは窓。どうだろう、高さ10センチ横30センチ程の小窓が、寝たときの頭辺りの位置についている。もともと夜だから景色なんか期待していないけど、この小窓からはホームの一部しか見えやしない。
 
 他の乗客が乗り込んでいないうちにくつろ着に着替えて狭い通路でのんびりしていたら、車掌がやたら通路を通るのね。寝台の埋まり具合とかチケットの点検をしているんだけど、頻度が多すぎるってくらい通っていく。

 たまたま近くの下段の人と話をしていて、ついでにその下段で酒盛りを始めたんだけど、下段は広い。広いうえにきちんとした広い窓がある。さすが料金が少し高いだけある。とはいってもたかだか2,000円ほどの違いなんだけど、この待遇の差は価格以上に大きい。
 
 ふと気がついたら列車は新潟駅を出発していた。車外の音や振動は全く無かった。この辺りはさすがは寝台だけはある。車内はあまり乗客がいないように見える。事実あまりいない。そのことを車掌が来たときに聞いてみると、途中で順番に乗り込んできて最後には満員になります、との事。

 一通り酒とつまみが無くなったところで自分のベッドに戻り、目覚ましをセットして、やっと眠りについてのであった。こうしてみると、この狭さがかえって気持ち良かったりする。とりあえず、寝過ごしだけは気をつけなければいけない。寝過ごしたら次は大阪である。


翌朝は人知れず行動するのだ


 時々列車の振動で目が覚めることがあったが、よく眠ることが出来た。朝は5時少し前に目が覚めた。枕元の小窓からむりやり外を眺めると、外はまだ薄暗いようだ。現在地はさっぱりわからない。

 完全に目が覚めるのを待ってから荷物を全部抱えて洗面コーナーへ行く。当然こんな時間に誰も居るはずがないので、堂々と着替えて朝の準備を整え、通路出入り口前に座り込んで米原到着を待っていたら車掌がやってきた。
 
 「米原で下車でしたね」
 
 朝っぱらからご苦労さんである。ああやって一晩中巡回していたのかしらん。

 今回の旅行は行き帰りを計算に入れると5泊6日、うち車中泊が2回、駅野宿が1回、ユースが2泊というハードスケジュールだった。しかし、そんな旅行もこれでお終い。米原に着いたらもう帰ってきたと同然である。今回初めての電車旅行にしては充実感があった。見るものやること全てが新鮮だった。


by santa_dx



 5時20分、列車は米原に到着。空は既に明るい。次の東海道線上りの始発は6時6分だから、かなり時間がある。久しぶりに来た米原駅をいろいろ探索しながら時間を潰し、電車に乗っておなじみの駅に到着したのは6時50分きっかり。まっすぐ自宅へ帰ると、まだ全員寝ていたのでした。長いようで短かった旅もこれにて終了です。無事に帰宅出来たことが何よりの幸いでしょうか。





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■東北ぐるり一周18きっぷの旅 1998のインデックス

<その1> 東北計画が発動し、いよいよ名古屋を出発する。
<その2> 電車をひたすら乗り継いで仙台に到着。
<その3> 超有名観光地の松島にやって来ました。
<その4> 三陸鉄道を乗り継いで八戸のカワヨユースへ。
<その5> カワヨユースでは快適な温泉三昧。
<その6> 青森で飯を食べそびれ、弘前でリベンジを。
<その7> 憧れの五能線に乗って黄金岬不老ふ死温泉に入る。
<その8> 秋田と酒田で途中下車し、電車は新潟に向かう。
<その9> 新潟で省エネ観光し、憧れの寝台急行で帰宅する。←今ここ




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posted by サンタ at 21:19| Comment(0) | 山劇トラベル | 更新情報をチェックする
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