山劇トラベルシリーズ |
一旦八戸まで戻るのが得策となる |
「Holiday」にも投稿しています <18きっぷで巡る東北ぐるり一周、大昔の旅> |
今日もやはり目覚まし時計よりも早く目が覚めた。それにしても良く寝た。時間を見ると、朝食にはまだまだ早い。せっかくなので露天風呂に入りに行くことに。外に出ると白い朝もやが一面にかかっていて、100メートル先が良く見えない。
露天風呂には誰もいないと思ったら、既に先客が数人入っていた。考えることは同じである。その中の一人はここの常連で、毎年夏と正月に宿泊しに来るのだそうな。年越しのカウントダウンを毎年ここ、露天風呂の中でやっているらしい。しかし、只でさえぬるめのお湯なのに真冬に大丈夫なのだろうか。話によると、湯船は大丈夫だが、更衣室と湯船の間がカチカチに凍ってしまって、むしろそちらの方が危ないそうな。
明るい所で見る露天風呂の真下に広い牧場で、遠くに馬が立っているのが見える。風呂から出た後、このまま戻るのは勿体ないので、周りの小道を散策してから部屋に戻った。食堂では朝食が始まっている。
その日の朝食は洋式だった。ハムエッグを中心にパン類やフレークが食べ放題。コーヒーやミルク、紅茶などは飲み放題。ヨーグル卜迄用意されている。いつのもことだが、「○○放題」というフレーズに弱い。ついつい欲張って全部に手を出してしまう。
満腹の腹を抱えて食堂から廊下に出ると、壁に時刻表が貼り出してある。そういえば次は何時だったっけと時刻表を眺めていたら、今から急いで出発すれば計画より一本前の電車に乗れそうだということを発見した。
果たして今から準備して間に合うのか、間に合わないのか。正直時間的に微妙だったが、この電車に乗れると少し楽出来るのである。やはり急ぐ事にした。
部屋に戻ると急いで布団を片付け、荷造りをやり直してから受付に行き、出発を告げた。するとどうだろう。受付け周囲のスタッフの皆さんが集まってきて、何をするのだろうと思ったら、見送りをしてくれるのである。入り口から「行ってらっしゃーい」と大きな声で叫び、鐘まで鳴らしてくれる。
これには参った。スタッフの皆さんには申し訳ないが、これはかなり恥ずかしい。努めて平然な表情をしていたが、顔が真っ赤になっていたのではないだろうか。
ユースから牧場の入り口までは下りだけなので10分程だった。昨晩来たときは真っ暗だったし、初めてだったからすごい距離を歩いてきたように感じたが、こんなものか。とはいえ、向山駅までは余裕をもって20分以上はみておいたほうがよさそうだ。
無人駅の跨線橋を渡ると、すぐに電車がやってきた。7時49分、八戸行きの普通電車である。予定よりも一本早いとは言っても八戸に戻るのは同じ。要は、次に乗る青森行きの快速電車に何処の時点で乗れるかという事である。
向山駅は快速が停車しないので、進むか戻るかして快速が停車する駅へ行く必要がある。時刻表によるとこの時間帯は青森方向ではなく、一旦八戸方向へ戻るしか選択肢がない。
ところが、当初計画していた電車に乗って八戸まで戻ってしまうと、数分の違いで青森行きの快速に乗ることが出来ない。もし一本前の電車に乗ることができるなら余裕で八戸始発に間に合うし、きっちり座席を確保できるし。青森へも早く到着できる。
とはいえ八戸では40分以上も待ち時間がある。何処かで時間を潰そうと思って駅の外へ出てみたが、なーーーんか寂しい駅前で、店が1軒も開いていなかった。
青森に来るのは実は2度目だったりする
8時51分発の青森行き快速電車に乗る。席は既に満席である。やはり早めに行動して正解だった。
電車は快適に走り、ユースがある向山駅を通過した。野辺地を過ぎると時々海が見えるようになる。これは野辺地湾である。さらに、途中の小湊駅が今回の列車旅の最北端地となるらしい。今迄はひたすら北を目指したが、この地点からは一転して南向きの旅となる。言ってみるなら今迄は行きの旅で、これからは帰りの旅となるのか。旅は後半戦である。
この辺りの地図を見てみると、八戸から青森の間は温泉だらけである。小牧温泉、七百温泉、瀬戸川温泉、上北町温泉、蛯沢温泉、東北温泉に浅虫温泉と、ざっと数えただけで7つの温泉がある。その他にも山の方へ入れば、それこそ数えきれない程の温泉がある。温泉ファンとしてはたまらない夢のような地域であろう。
気がつくと何本かのレールが並行して走っている。そろそろ古くからのターミナル駅として栄えた青森駅への到着は近い。電車がぐーんと右方向に旋回し、海に突き出るようにして停車すると、そこが青森駅だった。
実を言うと、青森は初めてではない。もうあれは何年前になるのだろうか。まだ青函連絡船が現役だった頃、バイクで北海道へ行く為に青森にやって来たのである。その時、フェリー待ちの間に青森市内を走り回ったと筈なのだが、何処を走って何を見たのか、なにも覚えていない。それくらい古い話である。ただ、少なくとも湾岸にかかっているブリッジは無かったと思うぞ。
電車が青森駅に到着したのが10時09分で、次に乗る電車は11時07分。滞在時間は正味1時間も無い。何だか観光バスで観光するごとくあわただしい。無理な日程を組んでしまった副産物である。
話によると駅の近くにかつて青函連絡船として活躍していた八甲田丸が静態保存されているというので、急ぎ足で見に行く。場所で言うとちょうど湾岸ブリッジの向こうに、黄色に化粧塗装された八甲田丸が停泊していた。
それにしても暑い。朝方は薄曇りだったが、今になっていきなり晴れた。気温もかなり高いのではないか。
まず、八甲田丸の全容を見ようとブリッジの展望台に昇る。展望台からは八甲田丸を見下ろすような位置になるので、とても都合がいい。じっと見ていると、なんだかまるで今からでも動きだしそう。
船の近くに寄ってみると、どうやら中に入れるらしい。ラッキーと思って船に上がると、中は有料だった。時間が許すなら中を見学したいのだが、その時間はない。受付の前まで行けただけでも良しとする。
美味を食いそこなった恨みは一生消えない
駅前に戻って時計を見ると、もう少し時間がありそうだ。たまたま目に付いた駅前市場に入ってみる。大体今迄の経験でいうと、こういう市場には美味しいものが多い。
中に入ると、何ていうか観光用市場になっている。どの店に並ぶ海産物や果物も同じように見える。ただ、奥の方に入っていくと鮮魚を扱う店があり、その横に「ウニ丼」「イクラ丼」「海鮮丼」などと書かれた小さな食堂があった。中を覗くと少ない座席はほぼ満席状態で座れそうにない。
「入りたい。でも、時間が・・・」(T_T)
ここで時間が狂うと今日の目的地の到達が困難になる。ここはぐぐっと涙を堪え立ち去ることに。逃がした「鮮魚」は大きい。
青森発弘前行きの電車は満員だった。それでも何とか座ってしまうところ1人旅の良いところ。乗り込んだ奥羽本線の電車は、割と新しい車両である。そのせいかエアコンが良く効いて寒い。最近はすっかり電車のエアコンに弱くなってしまった。荷物からこんな時の為に用意した超薄手の長袖を出す。
11時53分、電車は住宅街の中をずーっと走って、いつの間にか弘前に着いてしまった。今度は正真正銘のお昼である。青森で旨いものを食いそこなったので、今度の弘前では絶対に旨いものを食べてやると、意気込んで駅を出ると、駅前には何も店が無い。
駅周辺に車が走っているし、人通りもそれなりにあるので、何かはある筈。テキトーに街の中心と思われる方向へ歩けど歩けど店が閉まっているだけ。それらしい店は全くない。駅でしっかり調べておくべきだったと後悔するが遅い。弘前でもやはり制限時間がある。これ以上の深追いは危険と判断して弘前駅に戻る事に。欲しいときに欲しいものが無い。
それでも昼に何も食べないワケにもいかないので、結局駅ビル内の居酒屋風のお店で海鮮とろろ丼とビールを注文する。またしても昼間からビールである。どうだ。(誰に言ってる?)
明日は夢にまで見た温泉に入る
次号 ところで何処で泊まる?
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東北ぐるり一周18きっぷの旅 1998 その7
■東北ぐるり一周18きっぷの旅 1998のインデックス
<その1> 東北計画が発動し、いよいよ名古屋を出発する。
<その2> 電車をひたすら乗り継いで仙台に到着。
<その3> 超有名観光地の松島にやって来ました。
<その4> 三陸鉄道を乗り継いで八戸のカワヨユースへ。
<その5> カワヨユースでは快適な温泉三昧。
<その6> 青森で飯を食べそびれ、弘前でリベンジを。←今ここ
<その7> 憧れの五能線に乗って黄金岬不老ふ死温泉に入る。
<その8> 秋田と酒田で途中下車し、電車は新潟に向かう。
<その9> 新潟で省エネ観光し、憧れの寝台急行で帰宅する。
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