2014年09月07日

四国半周18きっぷの旅 2000 その10


山劇トラベルシリーズ


遂に高知で別行動になったが


 8時59分、高知駅着。幾分か肌寒かった窪川とは対照にじっとしていると汗がにじむほどの陽気となった。もちろん快晴である。
 
 改札をでて駅前に立つと、意外とあっさりとした何の変哲もない駅前で、ただ、そこらかしろに大きなシュロが植えてあり、今日のような陽気な青空をバックにするとまるで沖縄にでも到着したのではないかというような錯覚を覚える。南国の気分である。

 「それにしても暑いですね。」
 「昨日の寒さは何だったのでしょう。」

 ちなみに高知での滞在時間は1時間37分。次に乗る電車は残念ながら高知始発では無い為に、座席確保のため早めに並ぶ必要があり、せめて15分くらい前には戻りたいと思う。残る時間は正味1時間ってところ。

 さて何処へ行こうかとなった時、ここで初めて意見が分かれてしまった。自分はやはり電車にこだわるという趣旨で『市電』に乗りたいと主張したが、相棒は歴史的な場所へ行きたいという。

 しかし、検討している時間も勿体無いということで、あっさりと別行動と言う
ことになった。次は10時15分に改札前で集合という待ち合わせ時刻だけ決め、さっさと駅前に待機していた市電に乗り込んだ。

 その乗り込んだ市電は木造車両で、やはりかなりの年代物とみた。窓を開けようとすると、窓枠ごと落ちてきそうだ。当然エアコンは無い。完全自然風冷却である。

 電車が発車してから慌ててポケットの小銭を確認する。地方の交通機関に乗る時に気をつけるべきは主に2つある。先ずは乗車口が前か後ろか。たいていの場合『乗車口』と書かれてはあるが、地元以外の人は判りにくい場合がある。ちなみに前が乗車口となっている場合はいわゆる『先払い』で『区間内均一料金』、後部から乗車するのは『後払い』である場合が多い。
 
 気をつける2つ目は、小銭を用意しておくこと。料金体系や支払い方法等はその交通機関によって様々で、実際に乗車してみて初めて気がつく事が殆ど。それでも最近では紙幣でもおつりが出たり、車内で両替する事が出来たりするので幾分かは安心出来るようにはなったが、セイゼイ千円札止まり。実は一昨日の松山でこの
失敗をやらかしてしまった。勢い良く市電に乗った迄は良かったものの、財布を見たら小銭どころか1万円札しか無かった。でも、その時は行き先が終点だったので駅舎の窓口で支払うということで助かったようなものの、久し振りに冷や汗をかいた。

 ポケットの小銭を確認してから安心して車窓を楽しむ。電車は駅前を発車してから南の方へと向かって2個目の電停が『はりまやばし』で、高知ではこの周辺が繁華街となっている。
 
 電車はそのまま南へ進み、途中には板垣退助の『自由民権記念館』があったりして見応え充分である。電車は間もなく終点の桟橋電停に到着する。と、その時。

 「あ、市電の車庫がある!」

 終点の少し手前に電車の車庫があるのを見つけた。終点で下車してから素早くその場所へ急ぐと、それはもう今となっては懐かしい風景がそこに展開していた。

 入り口門の横には「関係者以外・・・」という看板があったような気もするが、ずかずかと線路敷きの中に入り込んでカメラのシャッターを切る。いい具合に撮れているだろうか。
 
 多少コーフンしながら撮影していると、その横を職員や作業員の方が通っていく。でも、「こんにちわ」と言うだけで何も言われない。きっとまたマニアがやって来たかという感じに見ていたに違いない。

 思い掛けない収穫があってほくほくと帰路につく。帰りもやはり電車である。しかし今度は駅迄行くのではなくて、はりまやばしで下車した。その地名の元になっている橋を見てみようと思った。

 「なんじゃこれ?」

 それは歴史ある橋ではなく、地名の橋が無いってのも寂しいのでとりあえずこしらえました。とでも言わんばかりの赤く小さな橋がそこにあった。見応えも何もない。

 とりあえずこれで時間いっぱいとなったので歩いて駅へ戻り、相棒と合流するとそのままホームへと向かった。


大歩危小歩危と讃岐うどん


 いよいよ本格的に帰路につくことになる。高知を発車した電車は丁度座席が埋まっている状態だった。今度の見物は観光名所である大歩危小歩危である。地図を眺めると、どうやら車窓から眺める事が出来そうである。
 
 高知から暫くは平野部を走っていた電車は、徐々に乗客が少なってゆき、土佐山田をすぎた辺りから山間部へと突入していく。それもかなりの急勾配である。すると、トンネルを出てすぐの駅で停車したと思ったら、先頭車両の先の線路が途切れている。

 「???????」

 社内放送でその駅で暫くの間待ち合わせの停車をすると言うので車外へ出てみると、その駅は『スイッチバック式』の駅だった。噂では色々聞いてはいたが、実物を見るのは初めて。だって、ウチの近所には無いんだもの。
 
 車内は既にがらがらの状態。そりゃそうだ、わざわざこんな遅い普通電車に乗るのは18キップのユーザ以外に考えられない。事実、たまたま乗り合わせた人に話しかけてみると、18キップのユーザ確率が非常に高い。隣に座った美人外人女性を同伴した怪しい坊主風の男性はそのまま京都まで行くのだそうだ。
 
 大歩危小歩危はウチの方で言うところの『寝覚めの床』を大きく長くしたような風景であった。電車の車窓からでも充分に堪能できる。

 12時52分、阿波池田到着。ここで乗り換えである。次の電車まで30分位しかない。でも、ここで昼食を何とかしないと当分食べられない。相棒W氏はパンと飲み物を購入したが、ここは是非とも駅うどんを食べたい。
 
 どこでもありそうな駅の立ち食いコーナーだったが、そこでもやはりざるうどんを注文する。しかも旨い。口当たりが柔らかなのにコシがあるという讃岐うどんの特徴を完璧に備えている。その味は駅うどんの常識を超えていた。安いし旨いし言うことはない。それにしても注文して直ぐに出来上がったのには驚いた。何か秘密があるのだろうか。

 次の電車は13時25分に阿波池田を出発。次の乗り換えは多度津である。実はここでひとつ失敗した。時刻表によると多度津での最短乗り換えは1分で乗り継ぎとなっていたので、万が一を考えてこれを計画に組み込んでいなかった。しかし実際にはその乗り換えはすぐ隣のホームであり、数秒で乗り換えが完了可能だった。

 だがしかし、その先の計画を組み直そうとしている間にその電車が発車してしまい、結局は元の計画通りの時刻になってしまった。

 多度津では15時1分発の高松行きに乗り、15時15分に坂出に到着。次はいよいよ15時35分発のマリンライナー40号で瀬戸大橋を渡る事になる。
 
 その間20分。今回は残念ながら讃岐うどんの本場、高松へは到達出来ないので、せめて一番近いここでうどんを食べようと、この僅かの時間にまたしても立ち食いうどんコーナーへと突撃。今度はざるは無く、その代わり冷やしうどんがあるというのでそれを注文。待つことわずか数分。そのうどんもまた絶品で、こんなに駅
のうどんがおいしい地域は正直羨ましいと思った。


いよいよ電車で瀬戸大橋を渡る


 急いで乗車したマリンライナーは、あっけにとられる程空いていた。天気はまさ
しく快晴。この絶好のコンディションの中、電車はいよいよ瀬戸大橋に突入した。

 瀬戸大橋は2階層になっている。上段が車専用道路になっていて、下段が電車の線路にという構造。でも、海の景色を見るなら絶対に電車だとその時に確信した。

 以前瀬戸大橋が開通した年にバイクで上を通った事があるが、当然ながら橋は良く見えたが海が見えたという記憶が無い。また、橋の上では停車禁止なので、止まらない限り景色が見えない。(実際には少しだけ止まってしまったのだが・・)
 
 線路の間から見え隠れする真下の海には船が小さくしか見えない。相当な高さだと思う。この高さのため、瀬戸内海をかなり遠くまで見渡せる事が出来る。ほんと、瀬戸内海は小島が多いと実感する。特に太陽が海に反射した風景は、来て良かったと思う価値があると思う。
 
 瀬戸大橋はあっけないと言う人も居るが、充分に楽しかった。少なくとも、しまなみハイウェイよりもずっと見応えがあると思う。

 岡山に到着したのは16時17分。その後はタイトな乗り継ぎを繰り返し、草津で相棒氏が下車して別れた。
 
 自分はそのまま米原迄行き、大垣行きに乗り換え、大垣でやっと最後の岡崎行きに乗り換え、岐阜に到着したのは21時12分だった。実質的に今日は一日中ず~っと電車に乗り続けていたわけだが、意外と早く到着出来たと思う。




実は話には後日談がある。
いったい何が起こったのか。

次号 え?もう一度行くの?→後日談おまけ話





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ラベル:18切符 鉄道
posted by サンタ at 23:00| Comment(0) | 山劇トラベル | 更新情報をチェックする
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