2013年02月12日

となりの山劇 No.053 FT400


超マイナーな大排気量単気筒


 この車名を見て、すぐに形が思い浮かぶ人は手を上げてください。
 FTと言ってもカワサキではなくホンダのバイクです。「フラットトラッカー」という異名をもつFTは、500と400がラインナップされ、何故だか500は黒、400は赤と決まっていました。

 ある日、何かの用事で岐阜のヤマハオートセンターに寄り、何気なく中古車を眺めていたら、ちょっと変なバイクに目が止まりました。これがこいつとの出会いです。

 よく見れば見るほどヘンチクリンなバイクです。CBXと比較するとハンドルがすごく高い位置にあるが、純粋なオフ車ではない。エンジンは単気筒のOHCだけど、4バルブ。ホイールは見た目ごついキャストで、18インチ。車体の色は深い赤色で、エンジンは黒色塗装。その存在は周りのバイクからは明らかに浮いていました。
 こんなバイクのどこが気に入ったのでしょう、ほとんど一目ぼれです。気がついてたら買っていました。

 このバイクの特徴はなんといっても400ccという大排気量の単気筒だということ。これに尽きます。高速域はまるでダメですが、単気筒ならではのど太いトルクを生かした低速域、特にスタートダッシュの素晴らしいこと。ハンドルの位置が高いので、タカッタカッタカッタカッと、まるで馬に乗るような感覚とでもいいましょうか。すごく楽しいのです。エンジンはXL400の流用という話ですが、セルがついているので、あの恐ろしいキックバックの心配はありません。心配は無いのですが、おかげでセルが何度か壊れました。単気筒400cc恐るべしです。

 それではワインディングでは遅いかというと、決してそのようではなく、余裕あるトルクを生かした走りはまさにオートマチック感覚で、ラクチン的に充分に速いのです。
 それはどういう走り方と言うと、コーナーが近づいてくると普通はシフトダウンしながら減速し、コーナー出口でシフトアップしながら加速。という一連の動作がお約束なのですが、こいつは違います。
 コーナーが近づくとブレーキ操作だけで減速し、コーナー出口でアクセルを空けるだけ(笑)。たったこれだけで他のバイクと渡りあえてしまうのです。4気筒ナナハン辺りが絶好のカモでした。もちろん直線ではかないませんが。

 こんなバイクなので、自分の周りはおろかツーリング中に一度も同じバイクを見たことも擦れ違ったこともありませんでした。それはそれでレアなバイクに乗っているという自慢みたいなところもありました。
 私はこのFTで2度目の北海道ツーリングを決行したのです。行きはいつも敦賀からの新日本海フェリーですが、行きのフェリーの中で、なんと同じFTと隣同志になったのです。となりのあんちゃんも目を丸くして驚いていました。





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posted by サンタ at 21:22| Comment(0) | 本家山劇/となりの山劇 | 更新情報をチェックする
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