なんだかなんだで荷物引っ越し当日が唐突にやってきたりするのである。結局荷造りは前日の夜中までかかってしまったのである。あれだけ用意周到に進めたつもりでも、細かなモノになる程整理が難しくなる。
そして引越業者は朝も早くから時間通りにやって来て、全体の荷物を確認するやいなやそれこそ疾風のように片づけてしまった。ウチらだと根性が無いから1つずつしか運べない段ボールを2個、軽々と運んでしまうのである。トラックが出発すると、いよいよ本格的にこのアパートともおさらばなんだなーと思ったが、次の引越先は本当に目と鼻の先だし、事情があって多少荷物が残っているので、今月(5月)いっぱいは往復する事になるのである。新しい入居先に引越の荷物を入れると、あれだけ広々としていた部屋の中があっという間に狭っ苦しくなってしまった。やはりこれが現実というものか。
それからは部屋の中に山高く積まれた段ボールを1つでも減らせとばかりに整理整頓。とは言っても実は押入に押し込むという作業になる。でも、今度のアパートの良いころは、広い押し入れと倉庫がある事である。そのおかげで、山となっていた段ボールが消えるのは早かった。ただ、細かな整理をしてはいないので、そのうちに1度は徹底的な整理が必要となってくるだろう。
本格的に引っ越してから改めて思うのは、以前の団地のような環境に比較すると、1軒家に限りなく近いような気がする事。夜遅くに仕事から帰ってくると、『家』に帰ってきたという感じがするのである。
それから特に夜は静かすぎるくらい音がしない。以前のアパートは大幹線道路に面しているようなものだったので、夜中でも車の音が止むことは無かった。それが、今度の場所では夜にちょっとコンビニでも行こうかと思って車のエンジンを掛ける事さえもためらってしまう程の静かさである。ついでにその音と言えば、1階に響く音を実地検証確認してからあえて2階に変更したという経緯があるのだが、実はその時には『水』関係の音を確認しなかった。
それで、入居してから改めてトイレや風呂の水を流す際の音が意外に大きな音がする事に気がついたのである。それでも普段日常生活をしている分には気がつかないのだが、皆が寝静まってからトイレに行ったりすると、その水洗の音が部屋中に鳴り響くのである。多分これは機密性がいい反動で音が逃げないんだろうなと思う。でも、最初こそ驚いたけれど、すぐに慣れてしまった。
こうして新しい生活が再スタートしたのはいいのだが、未だ全てが片づいている訳ではない。未だ一部の荷物が残したままだし、住所変更等の手続きは一切行っていない。それに、一応は旧居の清掃もしたいし、不要なゴミも残したままになっている。ある休日に荷物を片付けに旧居へ向かうと、な~んと1階階段下に設置されている集合郵便受けのウチの名前が早々に消されているではないか。何というヤツだ。きちんと今月末の28日に引き渡しますって言ってあるのに関わらず、こういう事をする。これには流石に周りの住人も驚いたらしく、我々の姿を見るなり飛んでやって来た。
「大変よぉ~。いつの間にか名前が消されちゃってるんだから」
「え~?。マジで?」
実際には郵便物の手続きもしていないし、引っ越したと知らない知人が訪れてきてびっくりさせてもいけない。後から苦情を入れるかなーと思っていたら、そのすぐ翌日。ウチのカミさんが用事で銀行へ行ったら偶然にもバカ大家が居たんだって。そのバカ大家はこちらを見るなりスっと無視して出て行こうとするから、逃げられないように車の前に立ちはだかって呼び止めたんだそうな。
「1階の郵便受けの名前の件ですが、まだ消されては困ります。すいませんが、書き直しておいて戴けませんか。」
「そうですか。周りの住人の方に聞いたら既に引っ越したと聞きましたので消しました。」
「まだ住所変更をやっていないものですから。」
「そうですよね、それに今月中は住む権利がありますものね。」
そこまで判ってるなら『消すなバカ』と、喉元まで出かかったけれど、とりあえずは言わないトコロがカミさんの謙虚な所である。自分ならさんざんイヤミを言ってしまいそうだ。
そのおかげかどうか判らないが、翌日には郵便受けに名前が復活したのである。それにしてもバカ大家が言う『周りの住人』ってのは一体誰だと聞いてみたい。多分近所の子供にでも聞いたのではないだろうか。あのバカ大家は大人とは口が聞けないくせに、子供とは口が聞けるのである。
脱線するが、こういう話がある。以前の話の中で、アパートの1階駐輪場で『生協』をやっているのを遠巻きに眺めながらよろしく思っていないようだという話を書いた。この時の生協で集まる奥さん連中は、周辺のアパートからもやって来るのである。そこで、あのバカ大家は何をしたかと言うと、その周辺の奥さん連中の小学生の子供を捕まえて、「あの駐輪場での生協を止めて欲しいって、お母さんに言ってくれ。」と言ったんだそうだ。
これで驚いたのは当の奥さん連中で、それからどうやら自主的に場所を変えたようである。こういった話はあっと言う間に筒抜けになるって事を知ってやってるんだろうか。知っててやってたら大した大バカものだ。
ところで、恒例の掲示板の話である。5月も半ばに差し掛かって来た頃、3番目にあった
3、○○○○○西側
駐車場増設(予定)
3つめに書かれてあった筈の文章が消滅していた。その経緯はもちろんの事、理由なんかも誰も知らない。それに、アパート西側の空き地は未だに手付かずで、車を移動するというアナウンス一つ無い状態が続いている。一体どうなるのだろうか。
これはウワサで聞いた話なので信憑性はとんとアヤシイが、どうやらその空き地をバカ大家が地価相場の半額あたりで購入するという話を地主に持ちかけているらしい。でも、地主としては地価相場以下で売却したくはない事は勿論の事、半額なんてとんでもない。大体、その空き地を分譲した2件の宅に申し訳ない。と、突っぱねたらしい(ちなみにその2軒とも「奥様連中的」つきあいがある)。世の中狭いもので、こうした地主の話でさえも聞こえてきてしまうのである。でも、どこをどう話を進めたのか、3年間だけの限定賃貸借契約を地主と契約したらしいのである。一応は3年後には出てけという条件付きらしいが、1度借りてしまったらねー。なんだかんだ言って返しにくいんじゃないかなー。と思うのは僕だけだろうか。それに、本当に3年後に土地を返却するとなると、再び駐車場探しに苦労するのではないだろうか。となると最善は今のまま何もしないって事になるのだが。さあて。あのバカの事だからどういう手を使うか判らないけどね。
お待たせしました、いよいよ次回はバカ大家との直接対決編です。
- 山劇 No.101 実録!バカ大家 1 ある日突如として大家が変わった
- 山劇 No.102 実録!バカ大家 2 とにかく入居者の神経を逆なでするバカ大家
- 山劇 No.103 実録!バカ大家 3 バカ大家がやらかした事件が続発
- 山劇 No.104 実録!バカ大家 4 バカ大家に入れ知恵するコンサルタントとは
- 山劇 No.105 実録!バカ大家 5 掲示板が出来てもさっぱり意味不明
- 山劇 No.106 実録!バカ大家 6 トラブルは熨斗をつけてやってくる
- 山劇 No.107 実録!バカ大家 7 ついにバカ大家の本音が出た
- 山劇 No.108 実録!バカ大家 8 バカ大家の本性がどんどんバレる
- 山劇 No.109 引っ越すぞ! 1 突然だが引っ越すことに決めた
- 山劇 No.110 引っ越すぞ! 2 さっそく代理店に行って住まい探し
- 山劇 No.111 引っ越すぞ! 3 禁断の家賃値引き交渉を試みると
- 山劇 No.112 引っ越すぞ! 4 相変わらずいい加減な掲示板
- 山劇 No.113 引っ越すぞ! 5 何度やっても引っ越しはめんどくさい
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