2013年02月07日

山劇 No.079 厨房の裏の裏 2

山劇/となりの山劇シリーズ
夜の厨房を闊歩する黒い影

 修理関係も、かなりいろんな経験をさせてもらった。一般的に「冷凍機」という言葉は聞き慣れないかもしれないが、簡単に言えばコンプレッサーだと考えてくれ。エアコンで言うところの室外機。この機械は家庭の冷蔵庫なら裏側の一番下、例えばスーパーの食料品店にある冷蔵・冷凍ケースは台の下に設置されている。そして、それらに共通しているのは「コンプレッサー付近は年中温かい」という事。ここらがゴキブリやねずみの巣になりやすいのである。

 急に機械が止ったという依頼が来た時、電気回路を点検しようと電気ボックスの中を覗くと、ねずみやゴキブリがコゲてショートしていたりしていたケースがよくあった。ここで言うゴキブリは、一般家庭の黒いやつではなくて、小型の茶色いゴキブリだ。ワシらはこいつを冗談で「業務用ゴキブリ」と呼んでいた。こいつらはどこでもすき間があれば信じられないような場所に進入して、たちまち巣にしてしまうのだ。例えばコンセントの中。例えば冷蔵庫扉のクッションの中。ありとあらゆる場所にゴキブリがいる。

 ゴキブリ以外でゲゲッと思ったのは冷蔵庫の配水管の修理。ここで言う冷蔵庫は業務用の大型冷蔵庫なんだけど、排水管が詰まったと依頼が来る場合、たいていロクな事にならない。つまり、何か食料品が排水管に入って、そのまま腐ってどんどん詰まっていくというパターンだ。今迄で一番すさまじかったのは魚屋で、イカが配水管で詰まってトロトロになって、塩カラ状態になっていたやつがあった。それを手で掴んで取り出したあのオゾマシイ感触。今も忘れられない。しかも、手に付いた臭いが洗っても洗っても落ちやしない。

 こーゆー状況は個人商店も大手の有名店舗でも関係なく、たいてい同じ事が言える。中でも特に凄いのが地下食料品店や、地下飲食店。こういう所の冷凍機は冷媒配管を長くしてどこかの暗闇の隅に冷凍機本体を押し込んであったりする場合が多い。そういう所にね、手を延ばして入れたら、手の上をねずみが走っていった事があった。「ひえ~」と思うのは一瞬の事なんだけど、冷たくて小さな足がヒタヒタと手の上を歩いたあの感触。今も忘れられない。

 そういう地下食料品店は、定期的にねずみ駆除を実施している。ある名古屋市内の有名大規模小売店舗の地下食料品街では、定期的に強力粘着シートを通路にずらーっと敷き詰めて一晩そのままにしておくのだが、これに小猫よりも大きいドブネズミがたくさんかかる。ジタバタしているそいつらを捕まえては、速やかに水没の刑となるが、実はねずみよりも人間のほうが多くつかまる(笑)。 大規模小売店舗では、それだけ深夜に作業する人が多いという事だな。



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posted by サンタ at 00:34| Comment(0) | 本家山劇/となりの山劇 | 更新情報をチェックする
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