2013年02月06日

山劇 No.074 酒酔い展示会 3

山劇/となりの山劇シリーズ
本物と印刷物は似て非なるものである

 ところでね、ヤマガタやラッセンの実物って見たことあります? ワシは今回初めて見たんだけど、やっぱり本物はいいよ。とにかく色が断然違うし、大きさも迫力も違う。あの実物の素晴らしさは、見てみないとわからないな。断言するけどね、総合カタログや、原寸大だというポスターでさえ全く実物の良さが表現されていない。

 ワシね、本物と模造品(この場合はニセモノを指す)の違いはわからないが、職業柄本物と印刷(特にプロセス印刷)されたものの違いはよくわかる。もっとも印刷方法によっては精巧な印刷物もあるけど、そーゆーのはどっちかというと模造品の分類だね。

 何故印刷は良くないのか。それは印刷のしくみにある。ご存知の方もみえるとは思うが、通常のカラー印刷と呼ばれる印刷は、C(青色)M(赤色)Y(黄色)K(黒)という4色のインキで成り立っている。まぁ、色にきびしい化粧品のポスターなんかは、それぞれの薄色を追加したりして表現力をアップしているけど、そんな印刷はフツー、めったに無い。
 つまり、プロセス印刷では、あらゆる色を、たったコレだけの色数で表現してしまおうというわけだな。でも、実際には例えば「赤」といっても、自然界には様々な赤が存在していて、その全てをインキの掛け合わせで出そうと思っても、そりゃあ無理ってもの。それははっきり言って似て非なるものだな。なんだったら、手元の絵の具で印刷してある色と同じ色を作ってみるといい。色の濃い部分はそれなりに表現できるが、薄い部分の色を出そうとしても同じ色は絶対に出ない。

 だから、ラッセンの絵であったような、輝くような夕日は、印刷ではまず表現できない。そういうどうしようもない理屈はわかっているが、それでもワシらは実物に少しでも近付けようと、いろーんな手を使うのだな。

 大体、絵の具には「プラチナホワイト」のような白色があるが、印刷における白色は、原則的には紙の色という事になっている。そーゆー目で見たヤマガタとラッセンの絵は、まさしくアートという名がふさわしい。特に印刷だと潰れたりする細部がまた素晴らしい。やはりこーゆー絵(版画)は是非実物を見たいね。と言ってもイザ買うとなるとヤマガタクラスの絵は1枚で軽く200万円はする。とてもとてもホイホイと買える値段ではない。当面はきれいなおねえちゃんの買え買えネチネチ光線をうまく避けながら鑑賞するしかないようだ。



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ラベル:印刷
posted by サンタ at 23:44| Comment(0) | 本家山劇/となりの山劇 | 更新情報をチェックする
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