2013年02月02日

山劇 No.043 たかが5円の差1

山劇/となりの山劇シリーズ
昔の写真プリントは高かった

まず、おうかがいします。

 『写真』というものに興味がありますか?

 もしここで「ない」という返事をする人は、今回の話を読んでも時間の無駄 なだけです。あっちに行って下さい。シッシッシッ。

 次に、『写真の品質』にこだわりを持つ方ですか?

 もしここで「写真は写っていればいい」とお考えの人は今回の話を読んでも時間の無駄 なだけです。あっちに行って下さい。シッシッシッ。

 今回は少しでも品質が良い写真を手に入れたい、という人のみを対象に話を進めていきたいと思います。それ以外の人は今回の話を読んでも時間の無駄 なだけです。あっちに行って下さい。シッシッシッ。

 いい写真を撮る。これには大きく分けて2つの要素があります。一つは『先天性』なもの。もう一つが『後天的』なもの。
 中でも『センス』ってのは『先天性』に属するものの一つで、いくら努力しても勉強しても最後まで追いつけないのが『センス』です。プロとアマの差はここにあります。ただし、勘違いしないで欲しいのですが、プロの皆さんは限りない努力と勉強をしています。それこそアマの数倍の努力をしています。

 「自分はセンスが無いからアマだ。」

 などと軽々しく言って欲しくは無いのです。歴然とした努力の差がそこには存在しているのです。でも、それでも、そこにはやはりあるのです。センスの差というものが。プロと呼ばれる人達の中にも。各々の高品質な機材と知識と技によって、その差は限りなく小くなっているのですが、要するに『向き不向き』によって得意分野が違っています。簡単に言うと、『動くものが得意』『動かないものが得意』『屋外が得意』『人物が得意』というような得意分野があり、その得意分野では他の追従を許さない。というのがセンスなのかもしれません。『動くものが得意』な人が『人物が得意』とは限らない点が面白いではありませんか。

 これに対して『後天性』は既に登場していますが、『努力』『勉強』『機材』『知識』『技』そして『資金』というものです。ただしこれらはプロの話ですので、話を自分レベルに落としていくと、努力には限界がある、情報も乏しい、資金も乏しい、となってきて、結局最後に残るのは『いい写真を残したいと願う姿勢』ってことになるのでしょうか。

 ここから先は自分を含めたフツーの人達の話であります。先程まで小難しい事をいろいろ並べ立ててしまいました。あれはあくまでプロの話だとも書きました。しかし、やっぱり、程度の違いはあれ、よい写 真を撮る為にはある程度は必要なものです。自分なりにも努力はしているつもりです。
 まずは機材。現在3台のカメラを所有しています。1台はニコンの一眼レフ(ただし古い)。もう1台はコンパクトでフジのトラベルミニ。もう1台が最近すっかりメインカメラになってしまったコニカのHEXER。このHEXERに関するヨタ話はこの『山劇』シリーズの初期に紹介してありますのでご興味のある方はどうぞ。

 そう、最近メインで使っているHEXERっていうカメラはすっごくマイナーな存在だけど、一応高級レンジファインダーってやつで、特徴としてはコニカが意地で開発したと言われる『HEXERレンズ』という名前のレンズで、それで撮影すると画像に驚異的なキレがある。というカメラです。この事は後に登場する話の伏線になっているので、心して覚えておくように。  知識の方も、仕事柄普段プロカメラマンと接する機会が多い為、それなりに仕入れる事が出来ますし、写真関係の雑誌を読む事も多いので、それなりにはあるつもりです。
 残るは『技』の部分なんだけど、こればっかりは場数を踏まないとねぇ。撮影した枚数にほぼ正比例していくのではないかと思います。ここで『ほぼ』と曖昧に濁らせたのは、この辺りに個人格差が存在しているからです。
 もうかれこれ10年以上前から、自分なりの撮影の方針は『数打てば当たる』方式であります。年間1000枚以上も撮影した時もありました。フツーの人にしては多いほうだと思います。しかし、これでさえもプロの人には遥かに届かないのです。プロの人は1度の撮影で、例え簡単なモデル撮影の1カットでさえも20ロールとか30ロールとか使い切ってしまいます。その中から実際に使用する写真は数枚。極端にいうと1枚。言い方が悪いかもしれませんが、プロの人でさえも『数打てば当たる』方式に変りはないのです。そうやって写真を写しているとたまーに、自分なりにいいなと思える写真があるんですよ。偶然に違いないのですけど。

 それで、こうして撮影した撮影済みフィルムをどうします? 次にやるべきは当然、現像でしょう。フィルムを現像しなくてはプリントも出来ませんものね。
 ここで現像と言えばフツーはネガの『同時プリント』でしょう。同時プリントというのを知らないという人は居ないと思うけど、要するに、現像と同時に1枚ずつプリントを仕上げる。というセット商品なのです。

 昔はここのところが違っていて、まずは現像だけ。それから見にくいネガを見ながら必要な番号だけをプリント仕上をしていたのですね。それがどのくらい昔かというのは秘密です。それに昔のカラープリントはかなり高価だった。ウン10年前で1枚100円というのは高価だとは思いませんか?
 でもね、その当時は撮影する人も、現像する人も、プリントする人も、そしてカメラ屋のオヤジも、みんなきちんとした姿勢で対応していたから、きちんとした写真に仕上がっていたと思うのですね。この事も後に登場する話の伏線になっているので、心して覚えておくように。

 ところが、何時頃かは忘れたけど、この世界にもコストダウンの波が押し寄せてきて、『同時プリント』というシステムがやってきたのです。そりゃ、頼むほうとしてはフィルムを店に出すだけで現像とプリントをやってくれて、しかも安い。となれば普及もするでしょう。
 それは従来番号でバラバラに指定されていたプリントが一律で一枚ずつのプリントとなり、しかも自動で大量にさばくという『大量生産システム』が整い、時間のロスを大幅に削減となった結果 とも言えるでしょう。
 それでも最初の頃はきちんとしたオペレータを育成してやっていたのでしょうが、最近ではそれもバイトにとって変り、印画紙などの材料でさえもコストダウンの対象になる。という具合にどんどん価格が下がり続けているようです。
 その結果、『同時プリント5円』だの『同時プリント0円』だの『フィルムただ』というような店の出現に至ってしまった。というのが現状です。

 なーんてうだうだと面倒くさい話を続けてきたのか?
 その回答編は以下次号につづく。



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ラベル:山劇 写真
posted by サンタ at 17:43| Comment(0) | 本家山劇/となりの山劇 | 更新情報をチェックする
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