2013年02月02日

山劇 No.041 無言deバトル3

山劇/となりの山劇シリーズ
やる事がなかなか派手だねぇー

 そして抽選当日がやってきた。この日は土曜日で、会社は休みであったが何だか気分的にハイになるところがあり、午前中から我ながらに落ち着きがなかったようだ。今日のクジなんか絶対に当たる訳ないと確信しつつも、気分的にそんなものである。

 午前中は何をしていたのか忘れてしまったが、午後の2時半きっかりに義母がやって来た。いよいよ出陣の時が来た。
 実際にウチから展示場までは10分とかからない。裏道をすいすいすーいと走ると展示場に着いた。

 「あら、誰もいないわ。」

 風があって寒いせいか、展示場内はがらーんとしているし、バスも待機していない。やけに寂しい。
 外にいても寒いだけだから暖かい所へいきましょうと、ツーユーホームの中に入ると、モデルハウスの中には既に「それ」っぽい家族が若干3組程粗リビングのソファーを占領していた。

 「しまった!」

 よく考えてみりゃ、今日同じバスに乗る人は皆お互いに「敵」なのである。普通 なら気軽に挨拶するところが、お互いに目を合わせても、なかなか言葉が出てこない。いや、どんな言葉が適当なのか見当がつかないのである。困った!

 「バスが来ましたからご乗車下さい。」

 3時少し前にバスがやってきた。割とデラックスなバスである。さっそく中に入ると不意に殺意のような視線を感じた。何気なくその方向を見回すと、そこには既に先客が乗っている。どうやらこのバスは岐阜北展示場からやってきたようだ。
 展示場の仕立てたバスに乗るとどうなるのか、予想すれば簡単なことだった。しかし、感じられた殺気はほんの一瞬の事で、すぐに平穏な空気に戻ったのであった。 席順は申し込み時に既に決まっている。係員の誘導に従って座席を5人分確保した。

 「本日はお忙しい中ありがとうございます。・・・ウンヌン」

 点呼を済ませるとさっそく挨拶が始まった。

 「当バスは展示場を出発しましたらまず、当社の住宅見学会場へと向かいます・・・カンヌン」
 「え?」

 ははーん。名古屋へ向かうにしては時間に余裕があったのは、こーゆー事だったのね。一人静かに納得していると、すぐにその見学会会場へ到着した。展示場のすぐ近くである。
 正直に言うと、この日は朝から寒いのでわざわざ外へ出たくはなかった。めんどくさいし。それでもタダで名古屋まで往復乗せてくれるし、一応係員が親切にもパンフレット類をくれてしまうものだから、渋々でも行かねばなるまい。
 その見学会場はまだ内装の前段階であったので、石膏ボード等の新建材がむき出しになっている。床もまだ完成していなくて一面 に紙が敷き詰めてあるし、階段の手すりも未だ完成していない。本当に造りかけという表現がぴったりくる。
 どうだろう、その見学会会場の建物は建坪的にはそれほどでもないが、内部のレイアウトに工夫が凝らしてあって部屋数が多く、明らかに二世帯住宅であるような気がする。

 「なかなか広かったですね。」
 「んーーー、どうだかね。」

 義母はあの広さでも不満があるらしい。
 バスはそれから岐阜羽島インターへと向かった。どうやら名神高速を使用するようだ。

 「高速道路、高速道路」

 喜んだのは子供たちである。私が車の時はめったに高速道路に乗ってやらないものだから、たまに乗ると嬉しいようである。
 バスは一宮インターで一旦高速を降りて22号線を南下し、清州東インターから東名阪自動車道に入り、楠ジャンクションから名古屋高速へ接続し、東新町辺りで降りるのかと思ったら通 過して、結局吹上げ出口から降りた。若干大回りのような気もするが、多分これが正解であろう。

 それから間もなくしてバスは名古屋市公会堂の駐車場に到着した。時計を見ると未だ5時半であった。

 「皆さまお疲れさまでした。只今会場内は大変混雑しております。お手数ですが、指示が御座いますまで車内でお待ちいただけるようお願い申し上げます。」

 どうやら未だ会場へは入れないようだ。仕方ないので、待ち時間のうちにトイレへ行ったりして時間を潰した。
 その時に見たのだが、まず、同じようなバスが6台駐車している。さらに、名古屋市内の人がぞろぞろと歩いてくる。やはりかなりの人数のようだ。車内では出撃を静かに待っているのだが、会話はごく少ない。皆黙り込んでいる。気のせいか目つきが鋭くなっている。

 「お待ちどう様でした。只今から会場内にご案内いたします。」

 いよいよ会場内へ突入である。
 公会堂入口には多数の社員がいて、ここで抽選券を透明の箱に入れる。これが正真正銘の抽選箱となる。
 我々が案内されたのは2階の席だった。ここに入るのも久しぶりである。たまたま来たのが早かったので、2階の正面 一番前の席を陣取ることができた。ここは2階では特等席である。

 6時半、突然賑やかなファンファーレと同時に音楽が鳴り、静かに緞帳が上がり、その舞台の中には一人の男性が立っていた。軽やかな口調の男性はどうやらプロの雇われ司会であるようだ。

 「大変長らくお待たせしました。只今からセキスイツーユーホーム新築限定1棟特別 抽選会を始めます。」

 すぐに抽選会が始まると思ったら大間違い。社長か何か忘れたけど、挨拶が立て続けにあって、次に何やら開発担当者が出てきてツーユーホームの特徴。特にツーバイフォーユニット式住宅のメリットを見にくくて面 白くないスライドを交えながら延々1時間近く話しているのである。話の途中で眠くなってしまった。子供たちは完璧に寝ている。
 私もこの辺りはあんまし興味が無いので、適当に聞き流しているうちになんだか眠くなってきてしまい、子供たちと同じように眠ってしまっていて、気がついた時はちょうど話が終わるところであった。周りを見ると、他の皆は殆ど眠っていない。その態度が真剣そのものである。



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ラベル:山劇 抽選会
posted by サンタ at 17:23| Comment(0) | 本家山劇/となりの山劇 | 更新情報をチェックする
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