2013年02月02日

山劇 No.040 無言deバトル2

山劇/となりの山劇シリーズ
当たるわけないじゃん

 さっそく私が居ない間に義母とカミさんは、近所の住宅展示場の中にある積水ツーユーホームを見に行ったそうである。そこで、募集についての一通 りを確認して来たそうな。それで、私が仕事から帰って来るなり言った。

 「あなたの給与証明が必要なんだけど、会社で貰ってきてくれない?」
 「え? なんで?」

 何でも、抽選の申し込みをするのに、今回はさすがに申込保証金迄は必要ないが、いろいろな書類を揃えなくてはいけないそうな。
 住宅展示場のモデルハウスで貰ってきた「抽選申し込み要項」を見てみた。そこには現住所電話番号世帯主その他もろもろの常識的な内容と、実際に建設可能な土地があるか否か。そしてその面 積を証明する書類。ちなみに、建設可能な土地が無い場合は抽選が出来ないことになっている。そして、その建設予定地の確認図面 。ここまではいい。大体ウワサで聞いていた通りの内容だ。今回は無いが、物件内容によっては申し込み保証金を委託する場合があるそうだ。この場合、抽選が外れたら返還されるのは当然の事だが。
 ところがである。その次に予想外の項目があるのを発見した。

 「この支払計画って一体何?」
 「その事で相談があるんだけど。」

 なんと、今回の抽選で当選した場合の支払いを、どのようにするのかを決めて欲しいそうである。
 つまり全額現金なのか、ローン返済にするのか。その場合は何処からお金を調達するのか。今なら住宅金融公庫に申し込みが可能だが、どうするのか。頭金はいくら用意できるのか。・・・そしてここが重要だが、その返済能力はあるのか。そういう事を聞いているのである。先程給与証明が必要だと言ったのは、こういう事だったのだ。

 しっかしまー、なんという楽な営業なんだろうね。限定1棟の抽選のために、一応は建てる意志があるお客がわざわざ寄ってきてくれた上に建設予定地の有無や、資金の支払い能力や、家庭内の事情までを全部ばらしてくれる。だから、抽選が終わっても家を建てる意志がある具体的で貴重な名簿が残るという事だから、抽選後はそれぞれの希望に沿った作戦を検討し、1軒1軒じっくりと営業すればいいという事になる。・・・と思う。

 いろいろ協議の結果、今回の抽選は私の名義にすることになった。つまり持ち主は私という事で、諸経費含めてざっと約1000万円を私の名義で支払うという事になった。当然そんな現金なんか持ってるわけないので、最低保証の頭金300万円は現金とし、残金は住宅金融公庫から30年払いという事で書類を作成する事になった。その300万円だって、どうやって調達するのか見当もつかないのだけどね。

 一口に1000万円というのは結構な額だが、30年間の計算で均等にすると、1ケ月約40000円弱という事になるそうなので、この数字だけ見ている限りは現在の賃貸マンションよりもずーっと安い。ただ、そうなると今度は税金とか補修とか、余計なところにお金がかかるんだろうけどね。

 さて次の休みの日、それらの書類を携えて、私とカミさんと義母と子供たちとで近所の住宅展示場に向かったのであった。今迄外だけをぶらりと見て回った事はあったが、実際に中に入ることは初めてである。
 展示場の割には狭いなと感じる駐車場へ車を停めると、いつもは万事控えめな義母が一番に飛び出した。気合い充分である。今回目指すは積水ツーユーホームの展示場で、でかい家だなと思いながら中に入るとさっそく営業マンが出てきた。

 「いらっしゃいませ。どうぞ、お上がり下さい。」
 「今日は抽選会の件でおじゃましたんだけど。」
 「それならこちらへどうぞ。掛けてお待ち下さい。」

 案内されたのは12畳以上もあろうかというリビングルーム。今日の天気は曇りで気温も低めだったが、この部屋はほんのりと暖かい。どうやら床が暖かいようだ。噂に聞く床暖房というやつか。
 ちなみに、その隣の部屋はキッチンと食堂になっていて、やはりどう見積もっても12畳はありそう。

 「どうもお待たせ致しました。」

 前回義母とカミさんのときに応対した営業マンらしい。
 ここでは前回に宿題として持ち帰った内容と、全体の再確認と、抽選の日取りの確認と、当選した場合の段取り説明とが行われた。 ただし、こちら側で応対するのはカミさんと義母であり、どちらかというと私は『お飾り』である。内容で必要な箇所だけ同意を求められるだけである。そういう姿を営業マンとしてはどういう目で見ていたのだろうか。一度聞いてみたいような気もする。それにしても営業マンの辛抱強さには驚きである。私が言うのもナンだが、義母の性格はかなりアクがある。良くも悪くも言いたい放題である。それを一度も笑顔を崩さないで一つずつ丁寧に返答しているのだ。とてもまねできない。

 「それではよろしくお願いします。」

 書類が全て不備無く揃って、確認したい事を全て確認したので、せっかくだから展示場内を見物して回る事にした。こういう時でないとなかなか中に入る勇気が無い。
 とりあえず、今の建物の中を見てまわる。

 「これは広いわ。」

 今迄に広い家には住んだことが無いので、かなり広く感じるのかもしれない。しかし、間取りは似ているが「限定1棟」の家はこれより若干小さくなるという。いや、それでも充分に広いのだ。中の構造も面 白い。2階には屋根裏のようなペントハウスがあったり、納戸や書斎がある。玄関の広間は2階部分まで吹き抜けになっているけれど、これはモデルハウスだけ。「限定」の方は吹き抜けにはなっていない。
 喜んだのは子供たちである。

 「トイレだ」
 「お風呂がある」
 「階段階段」

 広い家の中をまるで探検でもしているように走り回って、何かがあるとその都度叫んで教えてくれるのである。
 展示場内の他の「セキスイハイム」「パナホーム」「旭化成ヘーベル」「ダイワハウス」等の建物へも行ってみた。ここでも真っ先に先頭を切るのは義母である。どうやら義母はどれくらいの広さの家が必要なのかというのを見ているようだ。

 私の方は仕事の参考用に、他ではなかなか手に入りにくい展示場のパンフレット類を片っ端から頂いてきた。その際に必ずその建物の営業マンがアンケートをお願いしますと来るのだが、それだけは丁重にお断りした。
 しかしながら、展示場内にある家はどれもこれも立派な家ばかりである。広いリビングに余裕の食堂。8畳もある子供部屋。ずっと貧乏な暮らしをしている私にはこれらが全て贅沢に見える。事実贅沢な造りがしてあると思う。中を歩き回っているうちに、何だかすごく場違いな感じもしてきた。

 無事申し込みを済ませた後日のこと、ツーユーホームの営業マンから電話がかかってきて、抽選当日に展示場からバスを仕立てますから乗りませんかという。ウチはすっかり現地集合かと思っていたので少し迷ったが、乗った方が楽かもしれないと思ってお願いする事にした。ウチの家族と義母の5人分である。

 「ところで何時に出発しますか?」
 「午後の3時半に出発となります。」

 確か抽選会場は名古屋市内の鶴舞公園にある名古屋市公会堂で、時間は夜の6時半からのはず。何故3時間もとるのか。展示場から公会堂までは1時間半もあれば着くのではないだろうか。随分余裕をとるものだと思った。

 「ところで、当日は何人位来るのですか?」
 「約1000人程と聞いております。」

 何だか抽選前にガクッという感じである。名古屋市公会堂を借り切るくらいだから、相当大掛かりになっているとは思っていたが、1000人とは!。それでも宝くじよりは確立が高いとは思うが、絶対に当たりはしまい。予感というよりは確信に近い。こりゃもうレジャーのつもりでいたほうがいいだろう。義母以外は。



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ラベル:山劇 住宅抽選
posted by サンタ at 17:17| Comment(0) | 本家山劇/となりの山劇 | 更新情報をチェックする
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