2013年02月01日

山劇 No.008 ああ、名古屋の巻。その4

山劇/となりの山劇シリーズ
名古屋という街

 今回は名古屋という街と文化を、キーワードを基にしてひもといてみようと思います。これで、名古屋人の傾向と対策がわかるかも?(かえって誤解したりして)

※注意 以下はJRタワービル建設以前に書いた文章です。文中には現在とは事情が違う表記がありますが、修正するのがめんどくさいので原文のまま掲載します。人間、些細な事を気にしてはいけません。

<松坂屋>
 とりあえず、これだけは外せない。言わずと知れた名古屋の老舗百貨店であり、古来から松坂屋で買い物をする事が最大のステータスとなっている。

 現在、名古屋市内には「4M」と呼ばれる百貨店、「松坂屋」「名鉄百貨店」「丸栄」「三越」がある。この中の「三越」は、一流にはちがいないのだが、その場所はその昔、「オリエンタル中村」と言われた店舗を買収して出来た、名古屋ではいわば新しい百貨店で、東京では老舗で通っている百貨店でも、ここ名古屋においてはあくまでも「新参者」扱いを受けている。仮に売り上げ高が逆転しようとも、名古屋の百貨店は何処と聞かれれば、やはり「松坂屋」となる。

 しかし、現実はどうか。名古屋市内やその近郊には大型専門店が数多くでき、品揃え的にはそちらの方がはるかに勝っている。今や名古屋市内の百貨店が勝っているのは高級ブランド直営店が入っている事と、昔からのお得意様顧客名簿くらいと断言してもあながち間違いではない。

 栄近辺でも、久屋大通に「ハンズ」が、矢場町に「パルコ」と「ナディアパーク」が出来、数年先に完成するJR名古屋駅には高島屋が入る事になっている。今や若者の主流は「4M」には行かなくなってきている。「4M」危うしである。

 ちなみに、これを岐阜で言うと「高島屋」って事になる。決して「岐阜近鉄」ではない。でも、ここ岐阜でも郊外店の進出がめざましい。特に、現在正木町にある「マーサ21」が、岐阜郊外大型ショッピングセンターの草分けとして大成功を収めていて、市内の商店街は空洞化は止められない様子。

<寿がきや>
 いわゆるラーメンと甘党の店である。今でこそ名古屋市内のあちらこちらで見かけるようになったが、かつて(20年程前)は栄と名古屋駅周辺に数件しかなかったと記憶しております。また、この店の価格設定がリーズナブルでしかもお手軽だという理由から、この地方の一般市民に深く親しまれています。そして、この店はなぜか昔から女性専用店や、女性専用コーナーが設けられている店もあり、そのような店では特に女性で賑わっています。(あたりまえ)

 さて、私が学生であった頃の価格は確か、ラーメンが160円、氷イチゴが120円、ソフトクリームが80円だったと記憶している。これが今ではそれぞれ270円、200円、130円となっている。それでもまだ安い。

 むしろ昔と今で大きく違っているのは店内の構造で。昔も現在も食券を買うところまでは同じだが、現在は渡された番号札を持ってテーブルで待機していて、自分の番号を呼ばれたら取りに行くという、いわばセルフサービス式になっている。しかし、昔は全て巷にある牛丼屋のようなカウンター式になっていて、孤立したテーブル席は無かったと記憶している。

 昔我々がすがきやを利用する手順は次のようであった。まずは店の入り口で食券を買う。ここまでは今も同じ。大抵は普通のラーメンを2枚、もしくは3枚と、氷イチゴ又はソフトを買う。高校生は大食なのである。レジで購入した食券を手のひらに力強く握り締め、素早くカウンターを眺める。席は調理場が良く見える場所でなくてはならない。理由は後で説明する。

 目指すべき空きカウンター席を発見するやいなや、そこを速やかに占領し、息を整えつつ精神を統一し、購入したチケットを注文する順番にカウンターの下に並べる。それからおもむろに最初のラーメン券をカウンターの上に出してから、厳かに店員を呼ぶのである。店員がやって来ると、カウンターの上に出してある食券の半券を切り、奥の調理場でラーメンを作り始める。その間約数分。我々はしばらく雑談しながら待つのである。ラーメンが出てきたら、まず胡椒を入れなくてはならない。なぜここで、胡椒をいれなくてはいけないという理由はないが、我々の間では、そう決まっているのである。胡椒は、多く投入するほど格が上とされている。従って、隣りで胡椒を振りかけている回数をそっと観察する。

「あいつは5回振りかけたから、おれは6回だ。」

「あいつ、見てたな、ちきしょう。もう1回振りかけてやる。」

 このように、やせ我慢してでも多く入れるのである。ここで、胡椒のフタを緩めておくという原始的なイタズラをした事がある人、手を上げなさい。

 いざラーメンを食べ始めると、雑談は一時中断となる。そして、ラーメンがもう少しで無くなるという時に2枚目のラーメン券をカウンターの上に出す。このタイミングに極意があり、理想としては1杯目が無くなった瞬間に2杯目が届き、中断すること無しに食べる事を良しとする。

 ここでタイミングを誤ると、1杯目と2杯目の間に妙な間が出来てしまったり、あるいは食べ終わる前に2杯目が届いたりしてしまう。これは店の混みようにも関係があり、注文が多い様子を察知したら早めに券を出す必要がある。最初にカウンター席の選定が重要だという理由はここにある。調理場が良く見えないと、混雑具合が良く見えないからである。

 その調子で3杯目を食べ終え、最後のデザートの段階になってからやっと中断されていた会話が戻るのであった。そういったとても下らない事に命をかけていたのである。あの当時は。



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posted by サンタ at 23:41| Comment(0) | 本家山劇/となりの山劇 | 更新情報をチェックする
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