2013年02月01日

山劇 No.006 ああ、名古屋の巻。その2

山劇/となりの山劇シリーズ
名古屋に来たらこれを食え

 前回の続きですが、3つ目に『ホワイトギョーザ』。しかしこれは残念ながら名古屋名物と言えないのです。なぜならば、この『ギョーザ』は全国的にはチェーン店であり、系列店は宇都宮をはじめ岐阜、金沢(富山だったかな?)にもあり、それぞれの店の地場で名物となっているからです。この味を未体験の方は、店に入って椅子に座るなり「焼き30個」と言ってみましょう。恐縮ですが、あとの責任は負いかねますのでご了承下さい。

 お待たせいたしました。最後に、名古屋といえば『アレ』です。この手の話題に敏感な方は既に気がつかれたと思いますが、アレとは『赤味噌』の事です。全国広しといえども、原材料大豆100%を使用して長期(1年以上)熟成させた赤味噌は、愛知県しかありません。ストレートな調理方法として「赤だし味噌汁」がポピュラーですが、それだけに終わらない所が名古屋たる所以です。

 味噌汁以外の赤味噌を利用した料理で一番著名なのは『味噌かつ』でしょうか。名古屋及び周辺の高級なトンカツ店に入って『トンカツ』を注文すると、気の利いた店ならば必ず「何に致しましょう」と尋ねられます。ここで「何って、トンカツって言ったじゃん。」などと答えてはいけません。ここではソースをトンカツソースにするか味噌にするかを尋ねているのです。ちなみに『味噌かつ』の元祖を名乗っている店が岐阜の柳ケ瀬にあります。

 その『味噌かつ』の原点ともいえるのが、『串カツ』です。これは通常ではソースで食べるらしいのですが、名古屋人は衣をつけて揚げ上がった串カツをそのまま甘辛く調味した味噌の中にどぼんと入れて暫く煮込んだような『味噌串カツ』こそがフツーであると認識しております。ですから、居酒屋に入って下手に「串カツちょうだい」と言って注文すると黙って『味噌串カツ』が出てくる危険性があります。もしここでソースで食べたいならばあえて「串カツをソースで」と注文する必要があります。

 一番最初に例として出した『うどん』にも名古屋風『味噌煮込みうどん』があります。店舗としては『山本屋総本家』が有名ですね。ちなみに、ナディアパークの近くにある店が本店です。『味噌煮込みうどん』は調理する時に強力に土鍋で煮込みますので麺は「堅め」が一般的ですが、中には麺の堅さを指定する事ができたり、具も含めてまさに自分好みの味を作ってくれる店もあります。

 最近では価値観が随分変わりましたが、従来名古屋で『おでん』といえば『味噌おでん』を指します。醤油で味付けをするおでんや、コンビニのサークルKやローソンで冬季限定で販売されるようなおでんは、少々乱暴ですが、全て名古屋地方では全て『関東煮』もしくは『関東だき』と言って、完全に別の料理だと区別されます。正当な『味噌おでん』とは、その名前が指している通り、味噌で具を煮込んでしまうものです。ここで使用する味噌は、先程の『味噌串カツ』と同様ですので、大抵の場合『味噌おでん』と『味噌串カツ』はペアで存在するようです。

 こういった飲み屋や定食屋には『どて』。通称『どてやき』なるメニューがあります。『どてやき』を簡単に説明すると、要するにモツやスジなどを味噌で長時間煮込んだ料理であります。ちなみに『どてやき』のルーツは『土手やき』だとする説がありますが、詳しいことはわかっておりません。

 この『どてやき』をどんぶりめしに乗せた料理を『どてめし』と言います。決して『どて丼』と呼んではいけません。あくまでも『どてめし』であります。当然ながらどてめしの味は上に乗せるどてやきの味で決まります。一見単純な調理だと思いますが、一軒一軒間違いなく味が違います。筆者オススメはテレビ愛知の近くの角にある『丸福』で、店に入って椅子に座るなり「どてめし大盛り」と注文して下さい。重ね重ね申し上げますが、あとの責任は負いかねますのでご了承願います。

 とまあこのような料理と共に、赤味噌は名古屋人の味覚に深く根差しています。あらゆる料理に赤味噌をアレンジするのです。田楽も赤味噌だし、冷や奴にも赤味噌を使います。漬物やサラダや魚料理や野菜炒めなど、まんじゅうや煎餅や、ういろうなんかにも赤味噌を使用してしまいます。驚きましたか。私も驚きました。



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ラベル:山劇
posted by サンタ at 23:22| Comment(0) | 本家山劇/となりの山劇 | 更新情報をチェックする
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