◯ とりあえず小樽へ行きます
翌日起きると空は薄曇り気味だが何とか晴れ。早朝組は既に出発した後で姿は見えない。朝の身支度を済ませ、同時に荷物を素早くまとめてバイクにパッキングした後、まだ宿に残っている連中に別れを告げて出発した。本日の目的地は小樽一本勝負と決めてあるので特に慌てる事もない。従来、富良野から札幌へ行くには旭川を経由するルートが定説だったが、近年整備された夕張方面の山中ルートを走ることにした。このルート、現在でこそ快適道路だけど、以前走った時はほぼ全線未舗装路で走るのに苦労した記憶がある。というわけで、延々と信号が全く無い深い深い山の中の国道をひたすら走り、途中少しだけ夕張に寄ってみて、以後はひたすら札幌を目指してテキトーに走る。空はまだ大丈夫。暫くは雨は降りそうにもない気がする。
今回は札幌市街には行かない。というか、余裕が無い。札幌を周回する道路で市街地を迂回し、直接小樽に向かう。本日乗船予定だったフェリーは残念ながら既に欠航が決定しているが、チケットの予約を切り替える為、一度はフェリー埠頭へ行く必要がある。小樽フェリーターミナルに到着すると真っ直ぐ受付へ行き、翌日便の2等寝台を押さえる事に成功した。
とりあえず一安心
しかし時間はまだ午前中。空を見ると次第に雲行きが怪しくなりつつあるのでターミナルから遠く離れる事は避けたほうがいいだろう。問題の台風は今晩から明日にかけて小樽札幌を直撃するらしい。このままフェリーターミナル内で居座るという手もあるが何だか殺伐としそうだし、それは既に敦賀で経験済みである。そこで思い出したのが、富良野で噂を聞いたライダーハウス。試しに連絡を入れるてみると入れるというので今夜の宿を頼んだ。場所は小樽から国道を積丹方面に進んだ山の向こう側。料金は一泊2300円とやや高めだが、それを充分に補えるサプライズがあるという専らの噂。
◯ ライダーハウス(レストハウスオショロ)で台風をやり過ごします
宿に向かう前に小樽の三角市場に寄り、地元へ発送する土産を見繕っている間に雨が降ってきた。着たくなかったけど仕方なくカッパを着込んで宿に向かった。小樽から宿まではほぼ1本道なので迷うことはない。宿に着くとまずバイクを安全な場所にしっかり避難させ、荷物を持って中へ入る。それからもう何もやることは何も無い。外は雨である。そこは宿と言っても宿屋ではなく、表向きは真っ当なレストラン。店のオーナーがバイクや自転車の連中向けに宿を提供している感のだそうな。宿の中では同様に泊まる連中と話をしたり漫画を読んだりテレビを見たりしてダラダラ過ごし、ひたすら晩飯を待った。
先程のサプライズというのは実はこの宿の晩飯のこと。一人ずつ個別に立派な鮭のちゃんちゃん焼きがどぉーんと出たのを手始めに、様々な北海道特産品フライが山のように出る出る出る。この自分でさえもう無理っぽと思えるほど次から次へと出てくる。量も味も大満足である。天気さえ良ければ屋外でちゃんちゃん焼きパーティーになるそうだが、台風向かって来る時にそこまで望まない。
窓の外は雨風が強くなり、ガラス戸がガタガタと鳴り始めた。そろそろ台風が来るのかなと思ってたら夜遅く突然地元自警団っぽい人が店にやってきて、この辺り一帯の道は全面通行止になったから外に出ないようにと言っていた。布団で寝てからも、何となく風で宿が揺れてるような気がするので気が気じゃない。バイクは大丈夫か。
◯ 台風一過の小樽は
翌日朝、台風まだ真上付近を通過しつつあり、外の暴風雨は散々な状態だった。朝食を食べながらTVを見ると交通情報がやっていて、飛行機も電車も船も全面ストップ状態だそうだ。今はまだ外に出してもらえないし、ここまま宿に居るしか無いようだ。それでも昼が過ぎると次第に雨風が弱まってきたが、相変わらずゴロゴロしている。台風が通り過ぎると交通網が急速に回復し、船が無事に出そうだという噂が流れたのは夕刻になってからだった。結果、丸一日宿の中に居た事になる。
待ってましたー
しかし風も止み雨も殆ど降ってないのに関わらず、まだ宿周囲の全面通行止めが解除されていない。そこで宿の親父が自警団と交渉の末、全面通行止めの国道をパトカー先導で小樽市内まで行く事になった。宿の約半数が出発に参加しただろうか。安全速度で小樽の街に入ると街路樹が倒れ、信号が消えていた。後から聞くと札幌にもいろいろ被害が出ていたらしい。フェリーターミナルに到着すると昨夜からの泊まり込み連中が床を占領している。肝心のフェリーはどうやら遅れているものの出るらしいと聞いて一安心。さっそく船内食料を調達し、ついでに晩飯を食べてターミナルに戻った。
ターミナルの中は人で溢れている。乗船時刻がやってくると、乗船はまず徒歩組から始まり、すぐさまバイク組の乗船になった。帰りもやはり2等寝台を確保してある。やがて出港時刻がやってきて、暫く遠ざかる小樽の灯を眺めていたが、いつもの様に風呂に入り、購入しておいたビールで一杯やり、そのまま寝てしまった。外海はまだ台風の余波があるのか船内が面白いほど揺れていた。しかしいろいろ疲れていたし、何事もないかのように寝てしまった。
◯ 無事帰ってきました
翌日何となく起きてみるも、特にやることもないのでロビーでゴロゴロして過ごします。そしたらロビーで途中の宿で一緒だった人がいて驚いた。やはり台風で足止め食らったそうだ。波はやがて通常に戻ったのか揺れも無くなり、空も明るくなってきた。敦賀には翌日の予定到着時刻に到着。車両甲板で船内の連中と別れを告げ、その後は国道をひたすら走り自宅へと向かったのだった。
今まで帰りの時だけ台風と鉢合わせた事はあったけど、行き帰りガチに台風で足止め食らったのは初めてだった。今回のツーリングは大まかに目的地を決めてあったものの、途中の宿も通る道も本当ににテキトー。その時に行きたくなった場所に行くという気ままな旅でした。もし次に北海道へ行くチャンスがあったら、通過するだけで終わってしまった道南に行ってみたいかな。
今回の旅はここまで。
◯ 今回の軌跡:
富良野→小樽→ライダーハウスで台風をやり過ごし→小樽→敦賀→自宅
富良野から小樽へ。
小樽で丸一日足止め食らって、小樽から敦賀へ。
- その1 自然の猛威がツーリングを阻むのであった。
- その2 鋭気を養うべき船内生活が修羅場になっていた。
- その3 台風一過とはよく言ったものだ。
- その4 苫小牧東港ってどこ?
- その5 地図が古いんだよな(笑
- その6 目指せ勝手丼。今晩の晩飯は君に決めた!
- その7 目標達成。リベンジ北海道!
- その8 霧へのリベンジは続くのである。
- その9 開陽台では地平線が見えるらしい。
- その10 霧の摩周湖って何?
- その11 温泉!温泉!温泉!。
- その12 今回初のライダーハウスだ。
- その13 中標津三昧な日々。
- その14 そのおやじは結構名物的おやじだった。
- その15 美瑛というとこへ行ってみた。
- その16 とほ宿のこのおやぢは・・・(笑
- その17 恐れていた事態が現実のものに。
- その18 急遽予定変更。富良野で連泊だ。
- その19 またしても台風がコース直撃。そして帰宅。 ←今ココ!
- 北海道ツーリング1987 その13
- 北海道ツーリング1987 その12
- 北海道ツーリング1987 その11
- 北海道ツーリング1987 その10
- 北海道ツーリング1987 その9
- 北海道ツーリング1987 その8
- 北海道ツーリング1987 その7
- 北海道ツーリング1987 その6
- 北海道ツーリング1987 その5
- 北海道ツーリング1987 その4
- 北海道ツーリング1987 その3
- 北海道ツーリング1987 その2
- 北海道ツーリング1987 その1
- 北海道ツーリング1984 その7
- 北海道ツーリング1984 その6
- 北海道ツーリング1984 その5
- 北海道ツーリング1984 その4
- 北海道ツーリング1984 その3
- 北海道ツーリング1984 その2
- 北海道ツーリング1984 その1