◯ 前書きとして。
これは、2004年8月終わりに、転職の間にわざと2週間もの隙間を与え、その隙間に姑息にも単独北海道ツーリングを敢行した際の記録である。
その記録はツーリングから3年にもなろうかという06年06月から開始され、レポートは写真記録を中心に進行していく予定だが、文中にはもしかすると実際の出来事と異なる表記があるやもしれぬ。それらは物語を楽しくするための適度なスパイスであると心得、何人たりともゆめゆめ著者の記憶力を疑ぐってはならぬ。また、表記上で誤植及び誤記等を発見された場合は、密かに当方まで連絡されたし。ただし謝礼は出ない。
◯ 自然の猛威がツーリングを阻むのであった。
そもそもこのツーリングの計画は、ツーリング決行日の約1ヶ月前から始まった。北海道ツーリングは、行き帰りは新日本海フェリーを利用するのがの常。北海道まで本州を自走するという自殺行為は二度と御免である。この時期なら大丈夫だと確信しつつセンターに連絡して予約を押さえた。8月とはいえ末にもなればフェリーも空いているものである。
慌ただしく準備している間に決行日となる8月30日となった。天気は現在のところ快晴である。しかし、天気予報は南方から台風が接近している事を報じている。
台風16号である。
その予報によると、台風は丁度出発時刻辺りにフェリーの出港地である敦賀の真上を通過なさるらしい。別の言葉で言い換えると直撃ともいう。台風の進行速度を見てるともしかするとフェリーが欠航になるのではないか? 常識的に考えるとそのよう結論が出るのだが、今更予定を変更出来ない。とりあえず予定通りツーリングのフル装備を整え敦賀まで行ってみることにした。
当日押さえた便は、8月30日の午前中10時に敦賀港を出港する苫小牧行きで、この船に乗れば、翌日8月31日の夕方5時に苫小牧に到着する・・・筈。
当日早朝家を出発し手慣れた国道をひたすら走ると、午前8時頃には敦賀に着いてしまった。途中雨が降ってきたのでカッパ姿である。敦賀フェリー乗り場に着くと、駐車場は妙に閑散としている。フェリーターミナル建物に入ってもまるで人の気配がしない。めっちゃやばそうな状況を予感しつつ乗船手続所に向かうと、そこにあった大きな掲示板にでかでかと書かれてあった。
♪『新日本海フェリー欠航のお知らせ』♪
その掲示板によると、乗船予定の苫小牧行きフェリーは欠航しない。ただし、途中秋田に寄港する予定で、その先の苫小牧までは行かない。なので代替えで新たに苫小牧まで行く便を押さえないと話にならない。予約フロントで次の動きそうな便を尋ねると、明日早朝1時の苫小牧行きが動くかもしれないというので、ひとまずその便の予約に切り替えてもらった。これで船は確保した・・・・が、今はまだ午前9時である。明日の早朝1時、つまり午前1時まで・・・・
16時間待ちじゃん!
待機している間、なにすりゃええの? ここは冷静に頭を働かせ、これからの生活に必要となる衣食住のうち、「食」の部分を確実に調達するべく、再びバイクにまたがり敦賀の町へと繰り出した。天気はというと、先ほど迄降っていた雨が止み、次第に風が強くなりだしていた。状況はどんどん最悪に向かっている。躊躇している余裕は無い。
早速敦賀の町に繰り出しお好み焼き屋を探し当て、これを以って昼飯とした。次に近くにあったスーパーへ行き、本日夜食分のおにぎり類と飲料水。更にフェリー内生活用の定番主食であるカップ麺類を確保した後、雨風が強くなりつつあるフェリー埠頭へ戻った。最初、ターミナル前の駐車場にバイクを停めておいたのだが、強風にやられそうな勢いなので、係員と交渉してターミナルの軒先の風が回り込みにくそうな位置を確保した。時計を見ると、まだ10時間以上ある。
外を眺めると既に暴風圏に入ったのだろうか。過激な雨が真横に、まるで渦を巻いて波状攻撃を仕掛けるが如く降っている。ターミナルビルの中は次第に待機する人が増え、自分も体力の温存に努めるようロングシートの一角を確保し寝床とした。この暇な間、出発前に契約したばかりの携帯電話にメルを登録しまくる作業に没頭していたが、電池切れという恐ろしい事態が早々とやって来た。そこで何処か電源は無いかと探し、ターミナルビル2階で発見した電源から予め用意しておいた「マイタップ」によって電源を分岐し、これを非常用携帯充電電源とした。緊急事態である。この際細かなことを追及してはならぬ。
このようにして寝ては起きを繰り返していると、1階ロビーに新たな掲示があった。次の1時30分の出航予定の便は欠航にはならないけど、大幅に遅れそうだという。あいたぁーーー。でも、欠航しないようだから良しとするしかない。窓ガラスの外には絵に描いたような見事な暴風雨風景が見て取れた。
うだうだしながら午前0時を過ぎ、それから更に2時間たった頃、再び突然アナウンスが入った。
♪『只今から乗船を開始します』♪
♪『バイクでお越しの方は乗船スロープ前へ』♪
をいをい・・・信じられん。外は台風暴風雨真っ盛りだっての。バイク乗りの仲間達はお互いに顔を見合わせたが、行くしかないようである。皆そそくさと乾かしてあったカッパを厳重に着込んで乗船券を再確認し、荷物がまとまった順にバイクにまたがり、スロープ前に並ぶべく強引に走って行くのであった。
◯ 今回の軌跡:
自宅(岐阜)→敦賀フェリー埠頭→台風の為16時間以上足止め
まだ人が集まる前の閑散としたフェリーターミナル2階。
待合室のシートを1列占領して荷物置き場と寝床を確保した。
このスペースで少なくとも最低16時間は生活しなくてはならない。
まだまだ大嵐の前の静けさである。
- その1 自然の猛威がツーリングを阻むのであった。 ←今ココ!
- その2 鋭気を養うべき船内生活が修羅場になっていた。
- その3 台風一過とはよく言ったものだ。
- その4 苫小牧東港ってどこ?
- その5 地図が古いんだよな(笑
- その6 目指せ勝手丼。今晩の晩飯は君に決めた!
- その7 目標達成。リベンジ北海道!
- その8 霧へのリベンジは続くのである。
- その9 開陽台では地平線が見えるらしい。
- その10 霧の摩周湖って何?
- その11 温泉!温泉!温泉!。
- その12 今回初のライダーハウスだ。
- その13 中標津三昧な日々。
- その14 そのおやじは結構名物的おやじだった。
- その15 美瑛というとこへ行ってみた。
- その16 とほ宿のこのおやぢは・・・(笑
- その17 恐れていた事態が現実のものに。
- その18 急遽予定変更。富良野で連泊だ。
- その19 またしても台風がコース直撃。そして帰宅。
- 北海道ツーリング1987 その13
- 北海道ツーリング1987 その12
- 北海道ツーリング1987 その11
- 北海道ツーリング1987 その10
- 北海道ツーリング1987 その9
- 北海道ツーリング1987 その8
- 北海道ツーリング1987 その7
- 北海道ツーリング1987 その6
- 北海道ツーリング1987 その5
- 北海道ツーリング1987 その4
- 北海道ツーリング1987 その3
- 北海道ツーリング1987 その2
- 北海道ツーリング1987 その1
- 北海道ツーリング1984 その7
- 北海道ツーリング1984 その6
- 北海道ツーリング1984 その5
- 北海道ツーリング1984 その4
- 北海道ツーリング1984 その3
- 北海道ツーリング1984 その2
- 北海道ツーリング1984 その1